2019年3月24日(日)

日野とVW提携、新興勢に対抗 技術競争に備え

2018/4/12 17:33
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日野自動車と独フォルクスワーゲン(VW)は12日、トラックなどの商用車分野で提携交渉に入ると発表した。電動化や自動運転の技術開発、物流など幅広い分野で協業する。商用車の先端技術は独ダイムラーが先行し、世界販売は中国勢が急伸している。日野はトヨタ自動車の子会社。乗用車で最大のライバルであるVWと組み、技術と販売の両面でテコ入れして生き残りを目指す。

同日の日野とVWの発表によると電動化やハイブリッド、ディーゼルエンジン、自動運転などの技術を共同開発する。物流や販売は日野が得意なアジアとVWが強い欧州などの地域を補完し合うことも検討する。2017年6月ごろに提携交渉を始めており、今後はトップや役員で構成するアライアンス委員会を立ち上げ、詳細を詰める。

日野の下義生社長は都内での記者会見で「(商用車も)100年に1度の大変革期を迎えている。強い危機感をVWと共有している」と強調した。日野と交渉するのはVW傘下の商用車持ち株会社、VWトラック&バス。アンドレアス・レンシュラー最高経営責任者(CEO)は「幅広い協業に発展する可能性がある」と応じた。

乗用車の世界大手を親会社に持っていても、現状では生き残れないという危機感が両社の背中を押した。世界的に大都市で大気汚染が広がり、環境規制は厳しくなる。顧客である陸運業界は運転手不足に直面し、自動運転や安全機能での出遅れは衰退に直結する。

こうした技術で先行しているのがダイムラーだ。世界シェア首位の販路に加え、子会社の三菱ふそうトラック・バスという技術ドライバーを持ち、VWや日野に対して優位な位置を占める。三菱ふそうは17年、世界で初めて小型の電気トラックの量産を始めている。

日野はハイブリッドのトラックで実績があるが、電気トラックの量産に至っていない。自動運転は、いすゞ自動車などと国内でトラックの隊列走行の実証実験を18年1月に始めたばかりだ。

商用車は大型になるほど車体が重くなり、電動化が難しくなる。隊列走行も乗用車と異なる通信・安全技術が求められる。トヨタが乗用車の電動化や自動運転の技術で先行しても、それを丸ごと活用できない難しさがある。下社長は「商用車の先進技術は乗用車の延長線上だけでは対応できない」と、トヨタとの連携だけでは生き残れないと強調した。

こうした技術に加え、販売では中国勢が伸びている。第一汽車や東風汽車などが成長する母国市場で販売を増やした結果、世界シェアは上位10社のうち5社を中国勢が占める。VWは9位、日野は13位にとどまる。

中国勢は既に東南アジアへの輸出を進めており、今後はアジア各地でライバルになり得る。VWや日野は明らかに完成度の高いトラックを供給しているが、電動化によりパワートレーン(駆動装置)が変われば、車づくりでも中国勢と横一線での競争を迫られる。

18年2月には中国乗用車メーカーの浙江吉利控股集団がダイムラーの株式10%弱を取得して筆頭株主になったことが明らかになった。環境規制や自動運転に効率よく対応するため、日野とVWの提携を起爆剤に業界再編が進む可能性もある。

日野の下社長は「トヨタや(同社が出資する)いすゞとの関係に(VWと提携しても)今後も影響はない」と話した。トヨタを介していすゞとの関係を深めてきた日野。そこに飛び込んだVWが、トヨタを軸とする3社の関係にどう作用するかは読みにくい。

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