問い合わせ、AIで即答 兵庫2市がLINEと実験

兵庫県は12日、LINEと国立情報学研究所(NII)が共同研究する新たな住民向けサービスの実証実験に参加すると発表した。人工知能(AI)による自動対話プログラムを開発し、住民が対話アプリを通じて音声やテキストで寄せる問い合わせに即答する仕組みづくりを目指し、尼崎市と丹波市が協力する。
同日、兵庫県庁で連携協定を締結した。井戸敏三知事は「24時間自動応対してくれるので行政実務が効率化する」と期待を示し、LINEの出沢剛社長は「インフラとしての責任は大きい。成果を全国展開につなげたい」と述べた。NIIの喜連川優所長は「市民からの幅広い要求に的確に答えられるようにするのは非常に役に立つ技術研究だ」と強調した。
システム開発で協力する京都大大学院の黒橋禎夫教授によると、例えば「休みの日に戸籍の届けを出せますか」と問い合わせると、市が作成したFAQ(よくある質問と回答)をもとにAIが(1)「時間外、休日の届け出方法」(2)「休日に婚姻届を提出した場合すぐに証明が出せるか」の2パターンの意図を推定。何度かやりとりを繰り返して的確な回答につなげる。同義語や曖昧な話し言葉も推論できるようプログラムを改善していく。
人口45万人の尼崎市と6万5千人の丹波市が協力し、都市規模による質問の違いなども分析する。LINEを活用して子育てや防災、教育などあらゆる分野の問い合わせに対応する仕組みづくりに取り組むのは初めて。実証実験は2019年3月まで実施し、その後本格運用への移行を検討する。