大企業への補償請求、消費者団体が「代表訴訟」 欧州委が提案

2018/4/11 20:46
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【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)の欧州委員会は11日、域内の消費者の保護強化策を加盟国と欧州議会に提案した。消費者団体が消費者を代表して大企業に補償金などを請求する「代表訴訟」をEU全域で導入するのが柱だ。2015年に発覚した独フォルクスワーゲン(VW)のディーゼル排ガス不正問題で、消費者の権利を守る手段の強化が必要との声が高まったことに対応する。

「グローバル化した世界では、大企業が消費者に対して非常に有利な状況になっている。それを修正する必要がある」。消費者保護策を担うヨウロバー欧州委員は11日の記者会見で強調した。

新提案では個々の消費者に代わり、消費者団体などが企業に補償金や商品の交換、修理などの救済策を求める「代表訴訟」をEU全域でできるようにする。現状でも補償金を請求できる代表訴訟を整備している加盟国が一部あるが、全加盟国で可能にする。

排ガス不正問題を巡って、VWは米国の消費者には個別補償金の支払いに応じた一方、欧州の消費者への支払いには応じなかった。欧州委員会や加盟国の間では不満が今も根強い。

欧州委によると、従来のEUルールでは裁判所や当局が企業に不正行為をやめさせる権限を認める一方、「被害を受けた消費者が救済や補償を受けられる可能性までは与えていない」。消費者が代表訴訟を通じて補償金を求められるかは加盟国の対応次第だった。排ガス不正で見直し機運が広がり、代表訴訟のEU全域への導入提案につながった。

ただ産業界からは訴訟の乱発への懸念もくすぶる。とくに巨額の懲罰的賠償で知られる米国のクラスアクション(集団訴訟)への警戒感が根強い。欧州委の提案では代表訴訟の担い手を非営利の消費者団体など「適格団体」に限定。法律事務所などが利益目的で訴訟を起こすケースもある米国のクラスアクションとは異なる「欧州流」を強調した。

企業がEUルールを侵害した場合の罰金制度も強化する。欧州委によると、フランスなどでは年間売上高の10%まで要求できる一方、リトアニアでは最大8688ユーロ(約115万円)どまりと、加盟国ごとにバラバラなのが現状だ。

欧州委は大企業への抑止効果を果たしていないと判断し、売上高の4%を要求できる権限を各加盟国の当局に与える。加盟国の判断で罰金をさらに上げることも認める。

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