2018年9月25日(火)

中国が金融開放前倒し、対米摩擦にらみ 従来の焼き直しも

2018/4/11 19:30
保存
共有
印刷
その他

 【博鰲(ボーアオ、中国海南省)=原田逸策】中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁は11日、金融市場の開放策を2018年6月末から実施する方針を示した。証券や生命保険の外資出資比率の上限を51%に上げ、3年後に全額出資を認めるのが柱。17年11月の米中首脳会談で約束した措置と比べると、生保は2年ほどの前倒しとなる。米国との貿易摩擦をにらんだ措置だが、従来方針の焼き直しも目立つ。

 博鰲アジアフォーラムで語った。習近平(シー・ジンピン)国家主席が10日の博鰲での講演で公表した市場開放策の詳細となる。易氏は「金融業を大幅に対外開放することで(中国の金融機関の)国際競争力を高める」と目的を語った。

 柱は外資出資規制の緩和だ。外資が中国で証券、資産運用、商品先物、生保などを営む場合、中国企業と合弁会社を設立する必要がある。現在の外資出資比率は最大50%だが、6月末をメドに最大51%に上げて過半出資を容認する。3年後には全額出資も可能となる。

 中国政府は17年11月の記者会見では、51%への引き上げ時期について証券は「まもなく」、生保は「3年後」とだけ説明していた。証券は従来方針が維持され、生保は2年ほど前倒しされた。

 業務規制も緩める。銀行が支店展開をしやすくなるほか、証券会社は株式注文の取り次ぎ、株式引き受けなどの業務免許を取得しやすくなる。保険では代理店業務を外資に認めるほか、保険会社を設立するまでの2年間は代表所を営む必要がある規制もなくす。中国系金融機関と比べ、差別的な取り扱いをしない原則を徹底するという。

 株式市場の取引もしやすくする。中国本土と香港で株式を相互取引する場合、1日の上限額をいまの4倍に拡大する。上海とロンドンの間の株式相互取引も18年中に始めることを目指す。

 多くは金融業で高い競争力を持つ米国が長年、中国に要求していた内容だ。米中摩擦を緩和させ、貿易戦争の回避につなげる思惑とみられる。

 もっとも11日公表の政策の多くは既存方針の焼き直しで効果が疑われるものも少なくない。銀行や証券の業務規制は基本的に監督当局が公表済みの内容で、新しいのは実施時期だけだ。株式相互取引の上限拡大もこれまで上限額に達したことはほとんどない。

 そもそも中国が01年に世界貿易機関(WTO)に加盟した時の約束の一部は守られていない可能性がある。例えば、銀行の支店展開の規制撤廃や自動車金融やリースの開放はWTO加盟から5年以内で実現するはずが、今回の開放策に盛り込まれた。

 外資金融機関が強みを発揮できるのは海外と中国をつなぐ為替取引や海外証券投資の支援。だが、この分野は依然として厳しい資本規制が残るうえ、16年末以降はむしろ規制が強まった。易氏は「我々は資本取引の開放は徐々に進めてきている」と述べ、資本規制の急速な開放に慎重な姿勢を崩さなかった。現状で外資が参入しても収益を上げるのは簡単でない。

秋割実施中!日経Wプランが12月末までお得!

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報