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市場開放、透ける習主席の下心

10日のニューヨーク(NY)株式市場は、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席の外資に対する国内市場の開放方針と関税引き下げ表明を好感。ダウ平均はいきなり前日比で大きく上げて始まり、その後、珍しく乱高下することなく428ドル高で引けた。格下げやリコール(回収・無償修理)が表面化した電気自動車(EV)のテスラの株価ですら5%超急騰した。米中貿易摩擦に一喜一憂する神経質な地合いを映している。

一方で、株価の変動率予想を示すVIX指数は20の警戒水域を依然として超えている。習主席の発言を額面通りには受け止めることができない市場の本音を表す指標だ。

習主席の「下心」はいったいどこにあるのか。日米関係にくさびをうつことが考えられる。

トランプ大統領は「熱烈歓迎」のごとくツイートしているが、米国側からの新たな譲歩には一切言及していない。結果として中国こそ自由貿易の旗手との主張は相対的に強まる。そこで中国は日本に接近。首相会議などで保護主義反対で一致の印象を与えれば、日米の姿勢の違いが浮き彫りになろう。ちなみに今回発表された規制緩和策の中身はすでに方針を発表済みで新鮮味に欠ける。

習主席の本気度について議論が飛び交う中、ボールはトランプ大統領側に投げられた。

米中貿易摩擦への懸念は日ごとに後退と再燃を繰り返しているが、野球であれば「四回表」くらいの段階。海千山千のヘッジファンドも次の一手が読み切れず、現金ポジションを増やし当面は様子見との姿勢が目立つ。

商いは薄いので、値だけは飛ばしがち。ボラティリティーが高い状況がしばらく続きそうだ。

豊島逸夫(としま・いつお)
豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuo.toshima@toshimajibu.org

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