仮想通貨規制見直し、レバレッジ上限など議論 金融庁
金融庁は10日、仮想通貨を巡る規制の見直しを検討する有識者会議を開いた。投資家が預けたお金の何倍まで取引できるかを示す証拠金倍率(レバレッジ)の上限規制、仮想通貨技術を使った資金調達(ICO=イニシャル・コイン・オファリング)に関する制度整備の必要性などを話し合った。
現在は2017年4月施行の改正資金決済法で仮想通貨交換業者などを規制している。今年1月26日にコインチェック(東京・渋谷)で仮想通貨NEM(ネム)の流出が起きて以降、金融庁は交換業者への監督を強めてきた。利用者保護を徹底し、健全な取引環境を整えるため、制度改正に踏み切る。
会合では価格の乱高下を招いているのはレバレッジ取引の拡大だとの指摘が相次いだ。日本総合研究所の翁百合理事長は「決済手段ではなく、投機対象という現実を考えると規制を見直す必要がある」と主張。外国為替証拠金取引(FX)のように、法律でレバレッジの上限を設ける必要性を訴えた。
麗沢大の中島真志教授は、交換業者のセキュリティー対策の不備が判明したのをふまえ「共通の安全対策基準がいるだろう」と語った。ICOではまずきちんと規定する枠組みを設け、リスク開示の徹底を事業者に義務付けるなどの規制を導入すべきだとの声が出た。
金融庁は今後も会合を重ね、議論を踏まえ、制度改正を進める方向だ。