2018年12月12日(水)

ブロックチェーンはフェイスブック問題を防げるか

CBインサイツ
米巨大ITへの逆風
コラム(テクノロジー)
(3/3ページ)
2018/4/16 2:00
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言い換えれば、利用者が重視するのは「ネットワーク効果」だ。つまり、最も広く認知され、価値の高いデジタルIDに関心を示す。ネットワーク効果が限定的なブロックチェーンに移りたいとは思わないようだ。

しかも、ブロックチェーン技術が解決するのは非常に特殊な問題で、記録を管理する第三者の信頼性が低い場合にしか、現実には機能しない。こうした状態で政府や企業が、はたしてIDの管理を放棄するだろうか。

■デジタルIDが次に向かう方向

ところで、ブロックチェーン技術を使うIDが注目されている分野は大きく3つある。

1.国民IDをブロックチェーン上で管理

2.(人だけでなく)モノの特定

3.利用者による管理とプライバシーに重点を置いた新たなインターネットの構築

エストニアのIDカード(写真は見本)

エストニアのIDカード(写真は見本)

国民IDのブロックチェーン上での管理については、エストニアや米イリノイ州のプロジェクトが先例となっている。エストニアは分散型台帳技術を使って国のデータ登記簿を現代化。イリノイ州は(前述の)エバーニムを活用し、ブロックチェーン上で出生登録を管理している。

2つ目のモノのIDの背景にあるのは、人を特定できるのならモノも特定できるはずだというかなりシンプルな考えだ。

こうした考えに基づき、多くの企業がサプライチェーンでのモノの特定や追跡にブロックチェーンを活用している。例えば、英エバーレッジャーはブロックチェーンを使い、サプライチェーンでダイヤモンドを追跡。この方法で追跡したダイヤモンドは既に160万個にのぼる。

さらに、IDはインターネットとのやり取りを変える手段をもたらしてくれるかもしれない。米オーキッドは、監視のないインターネットの開発に取り組んでいる。同社は匿名通信システム「Tor(トーア)」の分散型バージョンとして機能し、利用者は余った回線容量を市場で売買することでプライバシーを確保できる。同社は500万ドル近くを調達している。

ブロックチェーン技術を使ったIDの未来はワクワクすると同時に恐ろしくもあり、個人にも企業にも影響を及ぼす可能性を秘めている。

分散型台帳を既存の中央集権型システムに組み込めば、既存システムの有用性は高まり、管理者にさらに権限が集中するだろう。同時に、オーキッドやブロックスタックといったプロジェクトは、ブロックチェーン技術がインターネットを根本的に変え、結局は利用者が権限を取り戻せることを示している。

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