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ヤンキース田中、持ち前の安定感復活の兆し
スポーツライター 杉浦大介

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2018/4/9 6:30
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米大リーグ、ヤンキースの田中将大が2018年シーズンをまずは順調にスタートさせている。ここまで2試合に先発して1勝1敗だが、投球内容はいい。好不調の波が激しかった昨季とは違い、持ち前の安定感復活に期待を持てる。序盤戦からけが人が相次ぐ厳しいチーム状況にあって、田中は先発投手陣の柱の一人としてヤンキースを目標のワールドシリーズ進出に導けるか。

5日のオリオールズ戦に先発した田中=共同

5日のオリオールズ戦に先発した田中=共同

今季2試合目の先発となった4月5日(日本時間6日)のオリオールズ戦七回表。ヤンキースは1-2とリードを許していた。だが、マウンドを降りる田中にスタンドのファンから盛大な拍手が送られた。地元ファンのそうした反応からも、この日の田中の投球が素晴らしかったことがうかがえる。

決め球の「スプリット・フィンガード・ファストボール」を中心にパワフルなオリオールズ打線から7三振を奪い、三回途中から打者10人を連続で打ち取った。1-0で迎えた七回にアダム・ジョーンズに手痛い逆転の2点本塁打を許して敗戦投手になったが、6回1/3を投げて3失点は合格点に違いない。

「田中の投球は素晴らしかった。オリオールズはミスにつけこんで長打にするのが得意なチーム。(失投を)捉えたジョーンズに脱帽だ。それでもマサ(田中)がよかったことに変わりはない。彼と他の先発投手たちの投球には勇気付けられている。私たちに勝利のチャンスを与えてくれている」

今季から名門球団の指揮を執るアーロン・ブーン監督のそんな言葉も大げさには聞こえなかった。今季2度先発して防御率2.92。奪った三振が合わせて15個、与えた四球はゼロ。ただ四死球を与えないだけではなく、必要に応じて丁寧にボールをストライクゾーンから出し入れする姿にも田中らしさを感じられた。

スラッガーと紙一重の勝負

逆転弾を許したジョーンズに対しても、その攻略法は明確な意図が見えるものだった。昨季まで21打数7安打1本塁打と相性のよくないスラッガーに、最初の2打席はインコースのストライクゾーンからわずかに外れる球で勝負にいった。初回は三塁手が取り損ねる不運な二塁打を許したが、四回は3球三振。七回の第3打席もストライクゾーンからボール球になるスライダーでカウントを稼ぎ、再びインコースに投げる伏線にしたかったのだろう。

「もちろん(ジョーンズには)厳しいコースを狙って投げたが、(スライダーは)曲がりもコースも少し甘かった。狙っているところに曲がらなかった」

失投のスライダーをジョーンズに捉えられ、田中は試合後に悔しそうに振り返った。しかし、昨季まで7年連続25本塁打以上を記録しているスラッガーとの紙一重の勝負には見応えがあった。最後は1球に泣いたが、気温6度という寒さの中で、そこに至るまでミスを最小限に抑え続けたことは評価されていい。

これまで先発した2試合はどちらも立ち上がりに長打を浴びるなどやや不安定だったが、すぐ立て直したところに田中の真骨頂が見える。昨季は自責点6以上のゲームが実に6試合と驚くほど調子に波があった。だが、もともと田中はゲームをつくるのが上手な投手。ベストの出来ではなくても、知力と体力に加えて時の運も味方につけ、勝つための道筋を見つけ出す。粘り強い背番号「19」の持ち味が戻ってきたのだとすれば、チーム状態が今後上向くにしたがって、田中がこれまで以上に多くの勝ち星を稼ぐ可能性は十分にある。

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