2018年5月25日(金)

ナジブ首相、長期政権狙い強硬策連発 マレーシア下院7日解散

東南アジア
2018/4/6 22:30
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 【シンガポール=中野貴司】マレーシアのナジブ首相は6日、連邦議会下院(定数222、任期5年)を7日に解散すると発表した。60日以内に総選挙が実施される。ナジブ氏は解散直前に有力野党の活動停止など強硬策を連発し、長期政権の維持を狙う。対する野党連合は92歳のマハティール元首相を首相候補に立て、1957年の独立以来、初の政権交代を目指す。

 与党連合の国民戦線を率いるナジブ氏は6日の記者会見で、都市鉄道の整備など実績を示したうえで「与党連合が勝てば、これまで以上の包括的な経済改革が実現できる」と支持を訴えた。一方、5日に自身の政党、マレーシア統一プリブミ党が活動停止命令を受けたマハティール氏は「野党連合・希望連盟のロゴを使って、無所属で立候補する」と、野党の結束を強調した。

 ナジブ氏は解散を表明する直前に、野党の活動停止処分のほか、与党に有利とされる選挙区の区割り変更を駆け込みで国会で成立させた。政権に批判的な報道の抑圧につながると懸念されている「反フェイク(偽)ニュース法」の成立も強行した。

 ナジブ氏があらゆる手を使って選挙戦を有利に進めようとするのは、過去2回の総選挙で与党連合の退潮が目立ったからだ。08年の前々回選挙では約40年ぶりに獲得議席が、憲法改正に必要となる3分の2を割り込んだ。13年の前回選挙では得票率で初めて野党連合を下回った。

 与党連合内には世代交代を待望する意見もくすぶっており、選挙結果次第では「ナジブおろし」の動きが高まりかねない。今回の選挙で3分の2以上を得る大勝を果たし、首相としての権力基盤をさらに強固にしたい考えだ。

 解散直前に公務員や年金受給者向けの現金支給を発表するなど、大衆受けする政策を打ち出した。09年に首相に就任したナジブ氏が選挙後も続投すれば、在任期間が10年を超える長期政権の可能性が高まる。

 野党連合は政府系ファンド「1MDB」の資金流用疑惑などナジブ政権の汚職体質を追及。野党が政権を取って無駄遣いをなくせば、消費税を廃止しても健全な財政は維持できると訴える。もっとも燃料価格安定のための補助金の再導入や最低賃金の引き上げなど人気取りの政策も多い。中低所得者の支持を得ようとばらまきに走る傾向は与野党とも大差がない。

 有力なイスラム主義政党、全マレーシア・イスラム党(PAS)が野党連合から離脱するなど、野党側の足並みは必ずしもそろっていない。PASは多くの選挙区で独自の候補者を出す見通しで、政権批判の票が割れれば、与党連合優位の展開となる。

 一方で、マレー系国民を優遇する「ブミプトラ(土地の子)」政策への不満は、人口の約25%を占める華人系住民を中心に依然根強い。与党寄りの論調が多い既存メディアが浸透していない若者層の動向次第では、政権交代への機運が高まる可能性もある。

 総選挙の日程は近く開く選挙委員会が決める。4月下旬から5月上旬にかけての投開票が有力視されている。

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