朴槿恵前大統領に懲役24年 韓国地裁「権限を乱用」
大統領の「帝王的」権力に縮小論

2018/4/6 19:25 (2018/4/6 22:11更新)
保存
共有
印刷
その他

【ソウル=鈴木壮太郎、恩地洋介】韓国の財閥から巨額の賄賂を受け取った罪などに問われている朴槿恵(パク・クネ)前大統領(66)の判決公判が6日、ソウル中央地裁であり、懲役24年の実刑と罰金180億ウォン(約18億円)の判決を言い渡した。大統領の犯罪が繰り返される底流には「帝王的」ともいわれる強力な権限があり、韓国では憲法改正で大統領の権力を縮小する議論が進む。

昨年5月に公判開始を待つ朴槿恵被告=共同

地裁は収賄や職権乱用、強要など18件に上る朴被告の起訴事実の大半を有罪と認定。「被告人は国民から委任された大統領権限を乱用し、国政の秩序に大きな混乱をもたらした」と断じた。検察側は懲役30年、罰金1185億ウォンを求刑していた。

歴代の大統領で有罪判決を受けたのは全斗煥(チョン・ドゥファン)氏、盧泰愚(ノ・テウ)氏に続き3人目。3月末には李明博(イ・ミョンバク)元大統領が収賄などの容疑で逮捕された。親族などを含めると、過去の大統領でスキャンダルにまみれなかった例はない。

背景には大統領への権限集中があると指摘される。国民の直接選挙で選ばれた国家元首と行政府の首班であり、国軍の統帥権も握る。条約の締結・批准、宣戦布告権限、憲法改正提案権から戒厳令布告までと強大だ。人事権も広範。政府や軍、政府系企業など約1万人の幹部級人事に影響力を持つ。

大統領の任期は1期5年。任期が折り返しを迎え、次期大統領選への動きが始まるころから急速にレームダック(死に体)化が進む。政権の醜聞が広がり出すのもこのころからだ。

絶大な権力のおこぼれに預かろうと、大統領や周辺には取り巻きが集まる。一審判決で朴被告の共謀相手として、すでに懲役20年の実刑判決が下った崔順実(チェ・スンシル)被告もその一人。クリーンさを強調し、身内さえ近づけなかった朴被告が唯一、心を許した親友が大統領の権威をかさに私腹を肥やしていた。

強すぎる権限の縮小は韓国で本格化してきた憲法改正論議の核心テーマのひとつだ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が発議した改憲案は任期を最大2期8年とする一方、「国家元首」の地位を削除。首相は大統領が任命する現行制度を維持するものの「大統領の命を受け」との文言を削り、首相の地位や責任を高める。

保守系野党「自由韓国党」の改憲案はさらに踏み込んでいる。大統領は外交と国防を担当し、内政は国会が選出した首相が責任を持つ役割分担を提唱。検察や警察など権力機関の人事権も制限する。6月の統一地方選をにらんだ政党間の思惑も絡み改憲の行方はまだ見通せないが、大統領の権限を縮小する方向性は一致している。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]