2019年4月22日(月)

米中摩擦が経済かく乱 商品価格や船賃下げ、株乱高下

2018/4/5 22:00
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【ワシントン=河浪武史】米中間で貿易摩擦が激しくなり、鉄鋼など商品価格に影響が出始めた。保護主義的な政策の応酬に陥れば、貿易の停滞などを通じて世界景気を圧迫しかねないとの懸念から、世界の金融市場は乱高下している。2年目に入った米トランプ政権の政策運営は脈絡を欠き、経済・市場のかく乱要因となっている。

貿易の停滞などを通じて世界景気を圧迫しかねないとの懸念が広がっている

「市場は過剰反応しないでほしい」。米株式相場の急落を受け、クドロー米国家経済会議(NEC)委員長は4日、テレビ番組でこう訴えた。米国が産業ロボットなど中国の1300品目に制裁関税を課す案を公表すると、即座に中国は米国産大豆などに報復関税の準備をすると応酬した。

過去数年、緩やかな経済成長と低金利が併存する「適温相場」が続き、金利上昇リスクが主に注視されてきた。そこに保護主義リスクが予想外の勢いで浮上し、市場は虚を突かれた。

実はビジネスの現場には貿易摩擦の影響がすでに広がり始めている。家電や建築などに使う鋼板、「ホットコイル」の中国での価格は1トン520ドル前後と今年に入って4%下落。米国が鉄鋼の貿易制限に加えて産業用ロボットなどにも制裁措置を広げ、需要減を懸念した安値取引が出ている。だぶついた鋼材が流入するとみて、ホットコイルは東アジアでも下落傾向にある。

鉄鋼原料の鉄鉱石を運ぶばら積み船の運賃も下落している。海上運賃の動向を示す「バルチック海運指数」は4日、約8カ月ぶりに1000の大台を割り込んだ。

将来の価格を予想する先物市場は影響がさらに大きくなると見越している。中国が報復の対象とする大豆やトウモロコシは4日のシカゴ市場で急落。赤身豚肉は3月末比で7%下落している。

株式市場では変動率予想を示す「恐怖指数(VIX指数)」が20超と、10程度だった17年中を大きく上回る。乱高下が続き、不安心理が強まっている。米国による鉄鋼・アルミへの追加関税の発表後、世界の株式相場は下げ基調に転じ、合計約170兆円(1.6兆ドル)の株式時価総額が失われた。「仕掛けた側」である米国のダウ平均は3%強下落。中国・上海総合指数(4%弱安)とさほど変わらない下げだ。

保護主義的な政策は巡り巡って米国にもダメージを与える。安価な輸入品の締め出しは国内の物価上昇リスクに直結する。02年にブッシュ(子)政権が鉄鋼輸入制限に踏み切った際は、自動車産業や住宅産業がコスト高に見舞われ、全米で20万人分の雇用が失われたとされる。

17年に世界の主要国が10年ぶりに同時成長を実現したのは、世界の貿易量が4.7%増と前年(2.5%増)から急回復したからだ。保護主義的な動きが貿易を妨げれば、この流れを逆回転させてしまう。

トランプ政権の1年目は経済を重視して大型減税を実現し、市場も好感した。だが、その現実路線が支持率回復につながらないとみると、過激路線が復活。市場との関係はぎくしゃくしている。

「米中間の貿易交渉は始まったばかり。投資家は『落としどころ』が分からず、不安になっている」(米調査会社ディシジョン・エコノミクスのアレン・サイナイ氏)。市場の混乱が続けば、それ自体が経済活動を冷え込ます要因となる恐れもある。

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