2018年9月26日(水)

日田彦山線の復旧、検討会設置で合意 費用分担が焦点に
公共交通のゆくえ

2018/4/5 2:00
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 福岡県と大分県、JR九州や沿線市町村は4日、一部区間で不通が続くJR日田彦山線の復旧方法について検討する初会合を開いた。具体的な手法やスケジュールを詰める検討会を設置し「早期に結論を出す」ことで合意した。ただ焦点となっていた復旧費用の算定や負担方法については、各自治体とJR九州間になお綱引きがあり、具体的な議論には至らなかった。

 「どうせJRさんがお金も出すんでしょうし、(JR九州社長の)青柳さんに議長をしていただいたら」――。報道陣に対して冒頭のみ公開された復旧会議の席で、大分県の広瀬勝貞知事は切り出した。

初会合後、JR九州の青柳社長(右から3人目)や各自治体の首長が所感を述べた。

初会合後、JR九州の青柳社長(右から3人目)や各自治体の首長が所感を述べた。

 当初予定では6人いる委員の「互選で選ぶ」としていた議長をあえて指名することで、JR九州がより主体的に責任を持つことを求めた格好だ。他の首長もその場で同意し、議長には青柳俊彦社長が就いた。

 日田彦山線は昨年の九州北部豪雨で被災し、添田(福岡県添田町)―夜明(大分県日田市)間で不通となっている。JR九州は昨年11月、同路線の復旧には約70億円の費用が必要と試算。利用者が低迷する現状も踏まえ「当社単独で復旧するのは難しい」(青柳社長)としていた。

 小川洋福岡県知事は4日の復旧会議後の所感で、「自治体の負担ありきで議論を進めるべきでない。70億円の費用については精査し、災害復旧事業などで負担を減らせる可能性がある」と発言。自治体側の負担を極力回避したうえで、路線復旧を実現したい意向を示した。

 両県からはJR側が示した約70億円の復旧費用のうち、40億円強を占める橋梁工事についても意見があった。

 5つの橋を架け替えるとするJR案に対して「一部は修繕や補強で対応できるのでは」という提案があった。

 JR九州の青柳社長はこうした意見について「十分理解したうえで議論していきたい」とした上で「復旧後の継続的な運行確保についても議論することを共有した」と強調した。

 今後は復旧会議の下に、県の担当部長やJR九州の役員、東峰村など沿線3市町村の担当者をメンバーとする「検討会」を設置する。

 検討会の開催時期や頻度は未定。検討会の議論を踏まえ、両県やJR九州のトップが参加する復旧会議で最終的な結論を出す。

 青柳社長は「有意義だった」と成果を強調。各自治体の首長も初会合が開かれたことを「1歩前進」と歓迎したが、全ての関係者が納得する結論を出すには、まだ時間がかかりそうだ。

ダイヤ改正で大幅減便のJR、影響を調査

 JR九州は3月に実施したダイヤ改正の影響を調べるために、10日ごろから1カ月かけて社員を運行中の列車に直接派遣して利用状況を調査する。新年度が始まり通学が本格化した段階で、主に高校生の学校生活への影響を見極める狙い。JR九州の青柳俊彦社長は「問題が発生するなら修正を図りたい」としているが、どこまで修正されるかはまだ不透明だ。

 今回のダイヤ改正でJR九州は1日あたりの運行本数を117本減らして3011本とした。特にもともと本数の少なかったローカル線への影響が大きい。例えば、肥薩線の人吉(熊本県人吉市)―吉松(鹿児島県湧水町)間は10本から6本へと4割減に、吉都線は吉松―都城(宮崎県都城市)間で22本から16本と3割近く減った。

 JR九州の古宮洋二鉄道事業本部長は「どの駅で何人乗って、何人降りてという実態を全部調べた。ゼロという列車も何本もあった。減便はそういうところからピックアップした」としている。ただ、影響の実態が判明するのは通学が本格化するこれからだ。

 ダイヤ改正後に列車の間隔が延びているケースもある。大分県日田市の原田啓介市長は天ケ瀬(同)などから日田駅に通学する高校生への影響を懸念。「部活動の時間を早く切り上げるか、帰宅を遅らせる必要が出て使いにくくなる」と指摘する。福岡県の小川洋知事は「市町村や高等学校に対し、ダイヤ改正後の影響の調査を実施したい」と話しており、自治体自ら調査に乗り出す動きも出そうだ。

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