2018年7月22日(日)

アマゾン送料上げ 「プライム」への誘導狙う

2018/4/4 21:00
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 ネット通販最大手のアマゾンジャパン(東京・目黒)が4日、配送料の体系を変更した。配送料の一部引き上げに踏み切った一方、当日配送などが無料になる「プライム会員」向けの会費は据え置き、むしろ顧客の囲い込みにつながる可能性もある。人手不足を背景に物流コストが上昇するなか、ネット通販・小売業界では配送料の引き上げが相次いでいる。

アマゾンの物流倉庫

アマゾンの物流倉庫

 アマゾンの値上げは2000円未満(税込み)の買い物が対象。通常配送で一律350円だったのを、400~440円とする。最短翌日の配送は500~540円と最大1.5倍に引き上げる。自社が調達した商品と、外部の電子商取引(EC)事業者が出品する商品の2通りを販売しており、主に直販の配送料を引き上げる。

 アマゾンは大量仕入れなどを武器に価格競争力を高めてきた。今後は2000円未満の買い物の場合、配送料も考慮すると周辺の小売店舗の方が有利になる場合も増えそうだ。

 戦略的な狙いも見え隠れする。「プライム会員をさらに増やすための一手だ」。ネット通販の業界関係者はこう受け止める。プライムは年3900円または月400円払えば当日配送などが無料になる会員サービスで、今回の配送料引き上げの影響は受けない。

 配送料が引き上げられると会費分の負担を回収しやすくなるため、「プライム会員入り」を選択する利用者が増えるのではとの見立てだ。いったん会員になれば、「支払った会費の元を取らないと損」との心理が働き、アマゾンでの買い物の頻度が高まりそうとの予想もライバル会社の間では出ている。

 アマゾンは配送料見直しについて「様々なビジネス環境の変化を踏まえ、総合的に判断した」とコメント。物流コストの上昇が要因の一つとみられる。通販市場が急拡大するなか、アマゾンは商品配送を委託するヤマト運輸と昨秋までに配送料を4割程度引き上げることで合意している。

 「アマゾンは今回の措置ではヤマトの値上げ分はまかなえない」との見方も出ている。固定会費のプライム会員の比率が高まれば、アマゾンの物流費負担はかえって高まる可能性もある。アマゾンはプライムの費用回収について「長期的な視点で投資している」とするにとどまっている。

 運送コストの上昇を受けた配送料の引き上げは通販各社に広がっている。セブン―イレブン・ジャパン傘下のインターネット通販「セブンネットショッピング」は2日、自宅などへの配送の無料枠を撤廃した。これまで1回あたりの購入金額が1500円以上で無料としていたが、一律324円とした。店頭で受け取る場合は、送料無料を維持する。

 イオンは一部地域のネットスーパーで、無料配送となる設定金額を引き上げている。同社のネットスーパーは展開地域などによって設定金額が異なるが、従来は合計5000円以上で無料としていたところを、6000円以上に変更するなどしている。

 それでも、「実際の運送コストを配送料ではカバーしきれていない」との声が通販・小売業界からは聞こえてくる。「無料や低料金で自宅まで届けるという過剰サービスが習慣になってしまっている」と、ある小売企業の担当者は明かす。アマゾンの価格戦略をにらみながらの我慢比べが続きそうだ。

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