2019年4月23日(火)

音楽配信、アップル振り切れるか スポティファイ上場

2018/4/4 20:55
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スウェーデン発祥の音楽配信大手スポティファイ・テクノロジーが3日、米ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場した。シリコンバレー勢と並ぶハイテク銘柄の仲間入りを果たし、最大の音楽市場で存在感を高める狙いだ。ただ背後には米アップルなど巨人が迫る。定額制など独自モデルで主役に躍り出た北欧発の「革命児」は先頭を走り続けられるか。

「ストックホルムの郊外で音楽は買えなかった。どうやったらあらゆる楽曲を買えるようにできるかを考えていた」

同日、米テレビ番組で創業の経緯を語ったダニエル・エク最高経営責任者(CEO)。新株を発行せず既存株主に売買の機会を提供する「ダイレクト・リスティング(直接上場)」で話題を集めたが、3日のNYSEにエクCEOの姿はなかった。トップが鐘を鳴らす恒例の儀式もない異例の上場となった。

サービス開始は2008年。既にアップルのダウンロードサービス「iチューンズ」が普及し、音楽販売の主流はCDからデジタルへシフトしていた。それをさらに進め、クラウド上の音楽をスマートフォン(スマホ)などで「聞き放題(ストリーミング)」にするモデルを生み出したのがスポティファイだ。

欧州でまず人気を集め、米国など全世界にサービスを展開。16年には日本にも進出した。17年12月末時点で世界の利用者は1億5700万人、有料会員数は7100万人にのぼる。

「フリーミアム」と呼ばれる無料モデルを音楽配信の世界に持ち込んだのもスポティファイ。無料会員向けの画面上には広告が表示される。まず無料で経験してもらい、音質が高く楽曲のダウンロードなどが可能になる有料会員へと誘導する仕組みだ。

「洋楽だけでなくドリームズカムトゥルーの曲も多い」。東京在住の20代女性は他のサービスからスポティファイに乗り換えた理由をこう語る。広告収入をレコード会社やアーティストなどと分け合うモデルを確立し、他の配信サービスにない独自のアーティストを発掘してコアな音楽ファンをひき付けてきた。

革新的な手法で市場を切り開いてきたスポティファイだが、IT(情報技術)大手の追撃は激しい。アップルのエディ・キュー上級副社長は3月に開催された音楽関連イベントで、15年に始めた音楽配信サービス「アップルミュージック」の有料契約者が3800万人に達したと明かした。

価格はスポティファイと同じ1カ月間9.99ドル(米国の場合)。1カ月で約200万人増えており、無料で試聴をしている人も800万人にのぼるという。

米アマゾン・ドット・コムも無料配送などの特典がある「プライム会員」向けに、映画や電子書籍などと合わせて音楽のストリーミングサービスを提供している。アップルやアマゾンは独自の人工知能(AI)スピーカーを持ち、自社の音楽配信サービスとの連携のしやすさをアピールしている。

スマホの普及を追い風にスポティファイが先頭に立って切り開いてきた音楽配信市場。AIスピーカーという新たなハードの登場により、勢力図が変わる可能性もある。

(シリコンバレー=佐藤浩実、佐竹実)

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