2018年7月16日(月)

政府、サイバー被害の深刻度指標 対抗措置の判断基準に

2018/4/4 19:00
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 政府は4日、サイバーセキュリティ戦略本部(本部長・菅義偉官房長官)を開き、サイバー攻撃による被害の深刻度の指標を初めてまとめた。国の対抗措置を判断する基準などに活用することも視野に入れる。同本部で決めたサイバー防衛に関する新戦略の骨子では、重要インフラへのサイバー攻撃を未然に防ぐため、国による経済制裁などを念頭に「抑止力」を向上させる必要性を明記した。

 新たにまとめたのは「サイバー攻撃による重要インフラサービス障害等の深刻度評価基準」。電力やガスなど重要インフラへのサイバー攻撃について、内閣官房の内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が国民生活に与える影響を5段階で評価する。人的被害や原状回復に必要な費用などを判断要素とする。

 企業や個人が客観的な指標に基づき、サイバー攻撃による被害の度合いを把握し、対処できるようにする狙い。政府は将来的にはこの基準をサイバー攻撃への国による対抗措置を決める指標としても活用する。

 2018年秋から21年までを対象とするサイバー防衛の新戦略の骨子は、官民が連携して事前の防御策を強化する「積極的サイバー防御」を推進するとした。「政治、経済、技術、法律、外交その他の取りうる全ての有効な手段を選択肢として保持」とも定めた。具体策には触れていないが、国がサイバー攻撃をした組織や個人を起訴したり、経済制裁を科したりすることを想定しているとみられる。

 米司法省はこれまでに、米国企業のコンピューターに侵入して情報を盗み出したとして中国人民解放軍の当局者を起訴。米ヤフーで大量の個人情報が流出した問題を巡っては、ハッキングなどの罪状でロシア情報機関の職員らを起訴した。政府はこうした海外の事例も参考にする。

 政府関係者によると、抑止力を高めるため、国がサイバー手段による対抗措置を取ることができる法整備も視野に入れる。現在、システムへの侵入は不正アクセス禁止法で禁じられているが、国によるサイバー空間での対抗措置を特例で認めることなどを念頭に置く。

 米国は発電所や交通システムが重大な被害を受け、人々の暮らしに深刻な影響が及ぶ場合、政府によるサイバー反撃などを認めている。日本で同様の措置を取るには新たな法整備が必要だが、刑法に定める正当防衛や緊急避難を法的根拠にする案なども今後、検討対象になる可能性がある。

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