2019年3月20日(水)

ロシア国営企業、トルコ初の原発着工 欧米をけん制

2018/4/4 10:14
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【イスタンブール=佐野彰洋】トルコとロシアがエネルギーや安全保障分野での協力を深めている。3日、ロシア国営ロスアトムが建設するトルコ初の原子力発電所の起工式が開かれ、両国大統領は映像回線経由で参加した。4日にはシリア情勢を協議するためイランを含む3カ国の首脳会談に臨む。欧米がトルコとロシアの接近に懸念を募らせる中、結束を誇示する。

「このプロジェクトの成功は2国間の力強い協力と友情を象徴するだろう」。3日、トルコの首都アンカラでの式典でプーチン・ロシア大統領はトルコ南部アックユでの原発着工に祝意を表明。23年の稼働開始を目指す考えを示した。

エルドアン大統領は「地域課題への対処でロシアとの協力を拡大していく」と満足感を示した。式典後、両者は2国間の首脳会談を実施した。

アックユ原発は2010年に両国政府が建設合意を締結。総事業費は200億ドル(約2兆1千億円)超、原子炉4基を建設する計画だ。3日に起工式を行った1号機について、規制当局の建設認可が下りたのは前日の2日。プーチン氏の訪問に間に合わせた格好だ。

ロシア・トルコ間は15年にトルコによるロシア軍機撃墜事件が発生し、関係が悪化した。しかし、16年夏にエルドアン氏が撃墜を謝罪して以降、関係は大きく改善した。黒海経由でロシア産天然ガスを運ぶ新パイプラインの建設が進み、ロシアからのチャーター便の運航も再開した。

安全保障分野ではシリア和平を協議する「アスタナ・プロセス」の推進で協力する。ロシアによる空域の使用容認を受け、トルコはシリア北部のクルド人勢力掃討作戦を続けている。ロシア製の最新鋭地対空ミサイルシステム「S400」の導入契約も結んだ。

北大西洋条約機構(NATO)加盟国のトルコと、NATOが大きな脅威とみなすロシアの接近に欧米では警戒感が広がっている。トルコは国内の人権問題やシリア政策で、ロシアはクリミア半島の併合や英国で起きたロシア元情報機関員の暗殺未遂事件などを巡って欧米との関係悪化を抱える。こうした共通項が両国の接近を促している側面もある。

一方、トルコの原発開発を巡り、同国政府はアックユに次ぐ2カ所目の原発を黒海沿岸で建設する計画を持つ。日本の三菱重工業などが参画するが、総事業費の試算額が当初想定から2倍以上に膨らんでおり、目標としてきた23年の稼働開始は一段と困難とみられている。

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