2018年7月23日(月)

ディズニーリゾート、集客増の葛藤 「満足度」正念場に

2018/4/2 22:10
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 オリエンタルランド(OLC)が運営する東京ディズニーリゾート(千葉県浦安市、TDR)が2日、2017年度の来場者数を発表した。前年度比0.3%増の3010万人で、3期ぶりの前年越えとなった。ただ今年は開業35周年を控え混雑が進む見通しで、来場者の満足度がさらに下がるリスクがある。根強い人気を素直に喜べないジレンマが深まっている。

夏の新規イベントなどが若者を中心に人気を集めた(写真はTDSの特別ショー)

夏の新規イベントなどが若者を中心に人気を集めた(写真はTDSの特別ショー)

 「乗りたいアトラクションがあったが、長蛇の列に嫌気がさした」

 この冬の休日に東京ディズニーランド(TDL)を訪れた都内在住の会社員、吉田唯人さん(26)の悲嘆は多くの入場者の声を代弁している。人気のアトラクションを待たずに乗れる「ファストパス」もすぐ締め切られ、数時間待ちもざらだ。

 TDRではこうした状況が続くが、それでも17年度の入場者数は3000万の大台を突破。前年に東京ディズニーシー(TDS)の15周年イベントがあったため当初は反動減を見込んでいたが、蓋を開ければ前年越えとなった。

 ただ手放しでは喜べない。3000万人はかつて中長期の経営計画で掲げた23年度の目標だ。新アトラクション導入などの満足度向上策が追いつかないまま、5年連続でその水準を上回った。

 足元では顧客満足度の低下が明白だ。日本生産性本部が実施する顧客満足度調査で、TDRは13年度の1位から16年度には27位まで順位を落とした。18年度は開業35周年のイベントが予定されており、さらなる混雑は必至だ。

 集客力を維持しつつ物理的な混雑を緩和するには面積拡大しかない。750億円を投じてTDLの敷地を拡張し、「美女と野獣」をテーマにした新エリアを新設するほか、TDRの大規模拡張も検討する。

 ただそれらの効果が出るのは20年以降。工事が続く19年度まではむしろ敷地が手狭になるだけに、これまで使わなかった奥の手も繰り出している。

 1つがこれまで「夢の国」の雰囲気を壊しかねないとして慎重だったIT(情報技術)武装だ。顔認証システムや自動券売機を入場口に配備し、グッズが購入できるスマホアプリを導入する。

 さらに16年まで3年連続で実施していた入園料金の値上げを17年と18年は見送った。「高すぎる」という一部の声に配慮したと見られる。18年3月には、お盆などのピーク時の利用を制限する代わりに値段を下げた年間パスポートを初めて売り出した。ハードの制約がある中でも、あの手この手で満足度を底上げする考えだ。

 ただ顧客の獲得競争は激しさを増している。最大のライバル、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市)の17年度の入場者数は16年度比約3%増の1500万人前後と、4年連続で過去最高を更新したもよう。訪日外国人からの人気も高まっており、17年には過去最高の約200万人を記録した。

 客数と満足度。夢と現実。相反する2つでバランスを取りながらファンをつなぎ留められるか。常に驚きと新鮮さを提供してきたテーマパークの王者に試練の年がやってくる。(下野裕太)

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