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為末大氏に聞く 20年東京五輪のアスリート像

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2018/4/4 2:00
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日本のアスリートが強く、たくましく、多彩に成長している。それを印象づけたのが平昌五輪・パラリンピックでの大活躍だった。2年後の東京五輪・パラリンピックでは、どんな進化した姿をみせてくれるのだろうか。日本のアスリート像について、元陸上選手の為末大氏(39)に聞いた。

――平昌五輪で日本は冬季五輪史上最多のメダルを獲得した。2年前のリオデジャネイロ五輪のメダル数も夏季五輪史上最多だった。強くなっただけでなく、アスリートの考え方や競技と向き合う姿勢、社会とのかかわり方なども変化していると感じる。

情報や科学を重視する強化策が女子パシュートの圧倒的な強さにつながった

情報や科学を重視する強化策が女子パシュートの圧倒的な強さにつながった

「メダルが増えたのは国などの支援で資金が増え、選手強化の体制が整ってきたことが大きい。特に情報や科学を重視するようになり、それを選手にフィードバックして強化に生かせるようになった。平昌でのスピードスケート陣の活躍がそれをよく示している。さらに、国際化が進んで海外でトレーニングしたり、海外からコーチを招いたりするようになったこと、インターネットによってさまざまな情報を得られる時代になったことなどが、アスリートの進化を促していると感じる」

――国際化によってアスリートの成長にどんな効果が生まれるのか。

「たとえば陸上なら、米国のチームに行くと、英国人もジャマイカ人もフランス人もいる。世界中の事情がわかり、自分のやり方がそのどこに位置しているかを理解できるのが大きい。たとえば無人島にいると自分の背が高いとか低いとかもわからない。外に出るとそれがわかってくる。日本で自分は大型選手だと思って練習していても、世界だとそうではない。大きさが自分の武器にはならないとわかる。さらに肌感覚で世界のトップがどんなレベルかもつかめる。自分の能力ではこの分野は無理だけれど、こっちなら戦えるとか考える。私のときは、走力では勝てないけれどハードリングはかなりいけそうだとわかった。それで意識が変わり、成長につながった」

「ゆとり世代」がなぜ強い?

「今の若者たちはサッカーの中田英寿さんや野球のイチロー選手(マリナーズ)らの活躍を子供のころにリアルタイムで見て育った。その前の世代にとっての『キャプテン翼』のようなフィクションの物語が、現実に目の前で起きていた。だから力んで頑張って世界に挑むぞという感じではなく、自然体で世界の舞台に立つ。そのマインドセットの違いもとても大きいと思う」

――日本のアスリートの中核はとかく批判されがちな「ゆとり世代」となった。そこから野球の大谷翔平選手(エンゼルス)やフィギュアスケートの羽生結弦選手(ANA)のような、かつての日本では考えられないレベルのアスリートが登場している。

「ゆとりとひも付けてよいかはわからないが、世の中が型にはめていくというより、個性を生かそうという雰囲気に変わり始めた時代に育ったこともあると思う。自分の裁量によって自由に使える時間が増えた。そうなると目標を定めて自分を律して努力を続ける選手は、そこで勝手に学習して成長していく。なんだか裁量労働制をいち早く導入したみたいだ。天才がそうした仕組みにはまると突き抜けることができるのだと思う」

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