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就活は「見た目が9割」ってホント?

お悩み解決!就活探偵団2019

ちょっと化粧が派手すぎたかも――。リクルートスーツに身を包んで就職活動に向かう途中、こんな不安にとらわれた女子学生は少なくないだろう。何しろ面接などの選考は、わずかな時間で評価が決まってしまう。「人は見た目が9割」とよく言われる。就活においてもそれが真実ならば、対策はあるのだろうか。

「化粧をするのは好きだけど、好印象の就活メークがわからなくて……」。都内の大学に通う女子学生が悩ましげに打ち明けた。リクナビが3月に開いた合同説明会の一角。「就活メーク講座」でのひとこまだ。

メーク講座は企業ブースとはまた別の熱気に包まれていた。ハリウッド美容専門学校(東京・港)の学生が講師となり、眉の描き方やチークの入れ方を伝授するものだ。当日はキャンセル待ちの行列ができるほどの人気で、参加者は約300人にも上った。

就活探偵団2019

就活探偵団は就活生の悩みを探偵(日経記者)が突撃取材で解決する連載企画。新就活生に必要な心構えや、就活準備に役立つ情報を掲載します。

ある女子学生は「目力を出そうとするとアイシャドーを濃く塗りすぎてしまうのが悩みだった」。講座では、アイシャドーを単色でぼかすコツを教えてもらい「上手にメークできればちょっと自信になる」と笑顔を浮かべた。

ほかにも「いつも顔色が悪く見えるのが悩みだったが、チークを工夫したら華やかになった」という女子学生もいた。

とはいえ、こうした専門的なテクニックをいざ自分で駆使するとなると「さじ加減」が難しい。就活情報サイトなどには、就活メークは「色味を抑えたナチュラルメークが基本」と書かれているが、どの程度ならナチュラルなのか、探偵(女性記者)から見ても、正直よく分からない。

自己分析が出発点

そこで専門家に、もう少し詳しくアドバイスをもらうことにした。

資生堂のシニアヘア&メーキャップアーティスト、高橋礼行さんに聞いてみると、就活メークのポイントは、(1)意欲(2)知性(3)清潔感――の3つだという。

すなわち、この会社で働きたいという意欲。入社後の活躍を期待させる知性。そして若々しく学生らしい清潔感。就活メークとは、これらの好印象な要素を採用担当者に伝えるためにある。

では、どんなメークをすれば、伝えられるのか。高橋さんは「よく学生からも質問されるが、アイシャドーやリップに『この色を使えば正解』というものはない」と述べた。そのうえで「大切なことは、自分が周りの人からどう見られているか。そして志望企業にどんな自分をアピールしたいのかをきちんと考え、理解することです」とも。

重要な指摘だ。メークをする際にも「自己分析が必要」ということだろう。エントリーシート(ES)を書くときと同じように。

例えば「実年齢よりも子供っぽく見られてしまう女性」が、グローバル系などバリバリ働く人が多い企業を志望する場合。高橋さんは「アイラインで目力を出し、ベージュやブラウン系のアイシャドーをぼかしてキリッとした印象を。それから髪の毛は結んでしっかりとしたイメージを出してみては」とお勧めする。

また、「普段はキツイ性格に見られがち」な人が、医療福祉系など人をサポートする仕事に就きたい場合は「ふんわりと柔らかなメークがオススメ。目元は明るめのベージュ系。髪の毛は両脇の髪をまとめたハーフアップはどうでしょう」。

高橋さんは「最近は眉毛やチークなど、子供っぽい印象のメークが流行っている。だが40~50代の面接官が若い頃はカッコイイ系のメークが流行していた。自分では普通のつもりでも子供っぽく受け止められるかもしれない」ともアドバイスする。就活メークは友達よりも、両親など年上の人に見てもらうことが有効そうだ。

おでこを見せよう

最近、就活生の間で関心が高いのが、コンタクトレンズの使い分けだ。

例えば色つきのカラーコンタクトはどうだろう。「派手な印象がある」(大手カード)、「接客業なので、周囲に違和感を感じさせない方がいい」(百貨店)といった声も。業種によってはマイナスイメージになりそうだ。ただ、若者らに人気の「黒目を大きく見せるコンタクト」については、装着しているかどうかがパッと見て分からないこともあり、容認の声が多かった。

 女子学生だけではない。髪や眉の形に悩む男子学生も多い。ある東北学院大3年の男子学生はパーマをかけていたが、就活の開始に合わせてストレートに直した。

実際に髪形は選考に影響するのだろうか。資生堂が昨年、一般企業の20~70代の採用面接官645人を対象に実施した「男子就活生の髪形調査」は参考になる。約8割の面接官が「第一印象に影響する」と回答したのだ。

調査では20種類の髪形サンプル写真も提示。どれが良いか選んでもらったところ、サイドや襟足を短く刈り上げた「ツーブロック」が1位だった。「耳がしっかり出ていて清潔感がある」など、50代の面接官に人気だったという。また、全体的に「おでこを出した髪形」は好印象だった。

一方で、ワースト1位は「前髪が重たく見えるパーマヘア」だった。

「メラビアンの法則」というものがある。人の印象は55%が視覚情報、38%が声や話し方などの聴覚情報、残り7%が言葉による言語情報で決まるといわれている。限られた時間の面接では、この法則が当てはまる可能性は大きい。

見た目という点では、写真の良しあしも重要だろう。

「売り手市場でも大手志向が強いので、写真に力を入れる就活生が増えている」。こう話すのは、神戸市の写真スタジオで毎年2500人の就活生を撮影しているカメラマンの赤松隆さんだ。

ESに貼る写真はチェックポイントの1つ。人気企業ともなればESが万単位で集まり、そこから書類選考に入る。「ES落ち」しないためにも、写真にもしっかり目配りしておきたい。

写真を使い分け

赤松さんは撮影の前に、就活生に「自分の強み・弱み」「学生時代がんばったこと」などを記入してもらい、その人に合ったポーズやしぐさを指示しながら撮影する。

例えば、リーダーシップを訴えるなら、口角を上げぎみにして目力を強調する――。ここでも自己分析が関わっている。

スタジオにはメーキャップアーティストも常駐。髪形や化粧に加え、ネクタイの柄やシャツの種類までアドバイスする。被写体の個性を引き出していくのが特徴だ。

メークや撮り方を変えた複数の写真を用意し、志望業界に応じて使い分けるやり方もある。例えば金融機関を受けるなら「真面目で努力家」な面をメガネで強調したり、化粧品メーカーでは「積極的に物事に取り組む」姿勢を開襟シャツでアピールしたりする。

また、写り方に注目するあまり、忘れがちなのが写真のマナー。エン・ジャパンの新卒事業開発室の林善幸室長は「規定のサイズに合っているか、切り方は雑でないか、斜めに傾いていないかを見ている企業は多い」と指摘する。

最近はスマホで「自撮り」した写真を印刷して使う学生も増えた。「完全にNGではないが、使う場合は十分な注意が必要」と林室長。履歴書に「背景は青・グレーなど」と書かれていることもある。余計なものが入っていないか、光の加減は問題ないか、などに気を配る必要がある。また、「自撮り棒」を使わず、きちんとスマホを立てて撮影したほうがいい。

写真はあくまで正式書類の一部、という意識が重要だ。

就活において「見かけが9割」はある面で正しい。面接官は人を見るプロ。上っ面だけでごまかせる訳ではないが、外見へのこだわりや気配りも、その人の個性や姿勢を表す材料となる。

そして外見は内面を変えるきっかけにもなる。「上手に化粧ができた」「髪形が決まった」。そんな日は心がウキウキするものだ。化粧や髪形の工夫で気分を盛り上げ、面接でパワーアップした自分を表現したい。

(潟山美穂、鈴木洋介、松本千恵、桜井豪、小柳優太)

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