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御堂筋側道、万博にらみ開放 大阪市など構想公表

完全歩道化も視野

大阪・御堂筋の将来像を検討する「御堂筋完成80周年記念事業推進委員会」(委員長・吉村洋文大阪市長)は30日、自動車専用の側道2車線を歩道として開放する案を公表した。吉村市長は「車から人中心の通りに変え、世界と張り合える都市にする」と強調。2025年の誘致を目指す国際博覧会(万博)までの整備完了を目指し、18年度に具体的な計画を策定するとした。

委員会は市や国土交通省、地元経済団体などで構成。市は今後、地域の街づくり団体なども交え、課題を整理する組織もつくる。

御堂筋は大阪・梅田から南海難波駅前まで南北約4キロの幹線道路。現在は淀屋橋以南の車道約3キロに計6車線が通っている。市は側道2車線(幅5~5.5メートル)と両脇の緑地帯(同4~4.5メートルある)を開放し、歩道(同6メートル)とともに歩行空間に変える方針だ。

計画案には完成100年を迎える37年をメドに車道を全て歩道にする構想も盛り込まれた。市は側道を開放した上で、実現可能性を探る。

シンボル 変わる 集う ライバルはシャンゼリゼ 

大阪のメインストリート、御堂筋が歩行者を主役とした空間に生まれ変わる。大阪市は「世界で最も美しい通り」と称されるパリのシャンゼリゼ大通りに匹敵する街並みを目指しており、将来の完全歩道化も視野に入れる。2020年夏季五輪を控えて大動脈の再整備が進む東京の動きも意識しつつ、魅力あふれる計画の具体化を急ぐ。

シャンゼリゼ大通りは御堂筋より全長は短いが、幅は70メートルと1.6倍。1990年代に車の行き交う側道を歩行空間にした。現在の歩道は片側20メートルで、双方向の8車線が中央を貫く。歩道に面してフランスを代表するブランド店や飲食店が集積するなど、通りそのものが国際的な観光名所になっており、吉村洋文市長は「御堂筋を肩を並べる通りにできれば、観光都市としての地位がぐっと高まる」と訴える。

市などが描く御堂筋の将来像は、オープンカフェや憩いの場所、集客イベントが開かれ、人の往来や経済活動で街全体が活気づく姿だ。大阪を訪れる訪日外国人(インバウンド)が1千万人を超えるなか、集客力をさらに高める起爆剤としても位置付ける。

市は側道の完全歩道化を、誘致を目指す国際博覧会(万博)が開かれる25年までに終えたい考え。20年夏季五輪を控える東京では、港区の新橋―虎ノ門間をつなぐ新虎通り(環状2号線)で、地域の企業などが歩道をカフェやイベントでにぎわう「東京のシンボルストリート」に変える取り組みが進む。市の担当者は「東京の動きも参考に、大阪ならではの街並みに仕上げたい」と話す。

課題もある。市が海外の先行事例として参考にする豪メルボルンのスワンストンストリートでは以前、地元住民らが車道廃止に反対する運動を起こした。ブランド店やデパート、飲食店が多い御堂筋南部の側道は荷下ろし場所として使われており、物流業界からは「停車スペースの確保など配慮を忘れないでほしい」(大阪府トラック協会)との声も上がる。

パリ、そして東京。国内外のライバルに見劣りしない目抜き通りに飛躍できるか。事業推進委員会メンバーの池田豊人・国土交通省近畿地方整備局長は「関係者だけでなく、市民全体を巻き込んで合意形成を図っていく姿勢が求められる」と話している。

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