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JDI出口見えぬ綱渡り 550億円調達 アップルに翻弄

経営再建中のジャパンディスプレイ(JDI)は30日、第三者割当増資などで約550億円を調達すると発表した。米アップル向けの液晶パネルの部材調達などにあてる事実上の運転資金だ。アップルの有機ELシフトで一時は中国企業との資本提携を模索したが、同社の液晶回帰で戦略を見直す。JDIの売上高は過半がアップル向け。その意向に振り回されながらの綱渡りが続く。

能美工場を産業革新機構に売却し200億円を調達(石川県能美市)

欧米やアジアの機関投資家15社から計300億円、液晶パネル向けの発光ダイオードを手掛ける日亜化学工業から50億円を調達する。最高額は60億円を出資する香港の投資運用会社で、日亜化学の出資比率は議決権ベースで約3.5%となる。

さらに生産停止中の能美工場(石川県能美市)を筆頭株主の産業革新機構に売却し約200億円を調達。革新機構は同工場をJOLEDに現物出資する方針で、同工場は中大型の有機ELパネルを量産するJOLEDの主力拠点となる。

JDIはアップルが今秋発売を予定するiPhone向けの液晶パネルを受注し、その数量が徐々に増えてきている。今回の調達資金はそのための部材調達や生産設備の導入が目的。パネルの在庫を積み増すのに必要な運転資金の確保に苦労するほど、今のJDIは追い込まれている。

今回の資金調達で当面の資金繰り問題はクリアしたが、もちろん安心はできない。増資などが報じられた30日、JDI株は一時前日比4%安となり、日経平均株価が大きく上昇するなかでの逆行安を演じた。市場関係者からは「資金を調達しても事業環境が厳しいことに変わりはない」(いちよしアセットマネジメントの秋野充成氏)と懐疑的な声が相次いだ。

実際、資金繰りを示すフリーキャッシュフローは2017年3月期までマイナスが続く。直近の17年4~12月期も500億円超のマイナスだった。赤字が続く本業による手元資金の増加が期待できない中で、将来に向けた開発投資などへの支出が続いているためだ。

17年にはアップルが新型の「iPhoneX」に有機ELパネルを採用し、液晶一本足のJDIは受注減に見舞われた。「X」の販売不振から、アップルは足元では液晶回帰の姿勢を強めているものの、いつ有機ELシフトを再開するかわからない。

JDIが有機ELパネルを供給するには、量産準備に数千億円規模の資金が必要だ。17年にはその資金を得るために外部企業との資本提携を模索。中国の複数のパネルメーカーと水面下で協議してきたが、条件交渉は難航した。

もっとも、液晶パネルも安泰ではない。京東方科技集団(BOE)や天馬微電子グループといった中国勢が急速にシェアを伸ばしているためだ。JDIは17年こそ世界首位を維持したものの、その差は徐々に詰まってきている。本業が揺らぎつつあるなかで、市場の変化に対応する投資資金をどうかき集めるか。綱渡りの難度は時間とともに高まっていく。

(細川幸太郎、浜岳彦)

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