2019年3月26日(火)

キリン、あえて虎の子開放 セブン限定「一番搾り」

2018/3/30 20:30
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キリンビールは30日、主力ビール「一番搾り」のセブン&アイ・ホールディングス限定商品を4月3日に発売すると発表した。ビール業界は全体需要が減り、4月の定義変更で個性派商品も増える見通し。競争が一段と激しくなるなか、キリンはあえて「虎の子」の限定品を出す。危機感を背景に、流通大手と長期的な関係を築きたい思惑が見える。

新商品の投入で既存の一番搾りの活性化も目指す(30日、東京・江東)

「一番搾りブランドをさらに活性化させる」。同日に開いた会見でキリンビールの石田明文執行役員は意気込んだ。発売する商品「一番搾り 匠の冴(たくみのさえ)」は同社にとって初の試みだ。販路はセブンに限定するが、対象はビール系飲料の主力ブランド。これまでは主役となる商品以外での連携どまりで、一歩踏み込む形となる。

原料に麦芽を100%使うなど既存品の路線は維持しながら、新たに氷点下で熟成させる製法を採用。従来品よりスッキリとした飲み口に仕上げ、同ブランドの主要顧客層である40、50代より下の若者層の開拓を目指す。加えて、売り場では既存の商品と並べることで、一番搾りブランド全体の活性化を狙う。

両社は新商品の目的を「ビール市場の活性化」と説く。ビール大手5社の17年のビール系飲料の課税済み出荷量は、前年比2.6%減の4億407万ケース(1ケースは大瓶20本換算)と市場は縮む。セブン&アイも「ビールは課題」と足並みをそろえ、昨年刷新した効果で販売が好調な一番搾りを通じて市場をテコ入れする。

ただ、キリン側にはさらに先を見据えた狙いも透けてみえる。今回の新商品の販売目標は30万ケース。年間3000万ケースを超える一番搾りの中ではわずかな数字だ。それでも販売好調の好機を生かし、主力ブランドを販路限定品という形で開放し、セブン&アイとの関係を強化すれば売り場争いでも優位に立てる。

実際に売り場確保の争いは激しさを増し、商品の改廃のスピードは速まっている。市場縮小の波にあらがえずメガブランドでさえ勢いが年々弱まる。象徴的なのがアサヒビールの主力「スーパードライ」。17年には29年ぶりに国内販売が大台の1億ケースを割り込んだ。

消費者の好みが多様化し、「大衆ブランドから個性派ブランドへ」といった潮流は止まらない。4月にビールの定義も変わり、果実や香辛料などを使う個性派商品も増える見込みだ。業界では「キリンが競争のさらなる激化を見越し先手を打った」との声もあがる。

今後の展開について両社ともに未定とするが、キリンの石田執行役員は「ロングスパン(長期的視野)で見たときに市場の活性化につながることであれば検討したい」とも話す。両社の今後の動向次第で、ビールに限らず食品メーカーと流通大手の連携の動きがさらに進む可能性もある。

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