2018年12月15日(土)

自動運転中の事故、車の所有者に賠償責任 政府方針

2018/3/30 21:24
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政府は30日、自動運転中の車の事故について、原則として車の所有者に賠償責任を負わせる方針を決めた。一般自動車と同じ扱いとする。外部から車のシステムに侵入するハッキングで事故が発生した場合、損害は政府が補償する。自動運転に関する賠償制度の土台が固まり、メーカーが過大な責任を負う懸念が薄れたことで、事業化の動きが加速しそうだ。

ハッキングで事故が発生した場合の損害は政府が補償する方針だ

ハッキングで事故が発生した場合の損害は政府が補償する方針だ

30日の未来投資会議で「自動運転にかかわる制度整備大綱」を示した。安倍晋三首相は会議で「具体的な法制度整備に着手し、国際的なルール作りを積極的にリードしてほしい」と指示した。2019年にも国会に関連法案を提出する。

大綱は自動運転車が普及し始める20~25年に向けて、法整備や規制の方向性を示す内容。自動運転の段階で見ると、運転手が乗った状態で限られた条件で運転を自動化する「レベル3」までが主な対象。運転席に人が座らない「レベル4」以上は今後検討する。

自動運転中の事故の賠償責任は自動車損害賠償責任保険(自賠責)では原則、所有者にあると確認した。一般の自動車と同じ扱いだ。メーカーの責任は車のシステムに明確な欠陥がある場合のみとする。自賠責に関する方針が定まったことで、民間の任意保険の設計も進む見通しだ。

事故原因の解明のため、運転記録装置の設置を義務付け、位置情報やハンドル操作、自動運転システムの稼働状況などを記録させる。

ハッキングによる事故の賠償は、盗難車による事故被害と同様に政府の救済制度を使う。所有者がシステム更新など、セキュリティー対策をしていることが条件だ。

事故の際の刑事責任など、結論を出す時期のメドも立っていない論点も多い。道路交通に関するジュネーブ条約は、自動車の走行に運転者の関与を前提にしている。日本の道路交通法も同条約に基づき制定され、自動運転と矛盾する可能性がある。だが同条約の改正の見通しは立っていない。

メーカーやプログラム開発者に刑事責任を負わせれば事業化の意欲が減退する懸念もある。

自動運転の速度の上限やルート、時間、天候といった条件も重要だ。制御システムの性能やサイバー攻撃への耐性の基準も定める。政府は今夏に自動運転車の安全性の指針をまとめる予定だ。

自動車メーカー技術者は「制度の整備は歓迎」と話す。一方で「刑事責任や道交法改正の議論が薄い」との声もある。

3月中旬にはウーバーテクノロジーズが米アリゾナ州で公道実験中の事故で歩行者を死亡させた。事故を受け、自動運転事故の責任問題が注目されている。

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