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部下の仕事、見える化でノー残業 社長自ら副業

働き方改革に取り組む企業が増えるなか、仕事の生産性を高め、残業を減らしたい企業は多い。アクチュアライズ(大阪市北区)は、社員が抱える仕事をリストで見える化し、管理者が把握しやすくするシステムを販売する。三島浩一社長(49)は自ら副業をしながら運営し、企業に生産性向上に向けたアドバイスを提供する。

件名と期限で仕事を発注

グループの社員の業務内容や期限を見える化できるソフトを開発

「Aさんは今日が期限の仕事が集中しているな。このままだと残業が続きそうだ」「Bさんが空いていれば、Aさんの仕事を手伝ってもらえるかもしれない」。複数人で仕事をこなす部署の中で起こりうる一コマだ。

同じチームの中では、業務を効率的にこなせる社員もいれば、時間がかかってしまう社員もいる。ただ、締め切りを決めずにだらだらと仕事をさせてしまってはチームの生産性が上がらない。

「仕事を見える化ができていないと、いくら業務効率を上げようとしても難しい」。三島氏は仕事で残業が常態化する原因の1つが、誰がいつまでにどの業務をやるかという「ToDoリスト」を社内で整理できていないことだという。

「やるべき仕事は締め切りと期限があって初めてこなせる」(三島氏)。期限があれば仕事への集中度も上がる。上司が発注する時点で締め切りを設けることで、部下はやるべき仕事の優先度もつけられるようになる。

開発した業務改善システム「Team ToDo」は、チームの社員がやるべき仕事のリストを見える化したシンプルな仕組み。管理者は「報告書作成」「精算」「会議資料の準備」などやるべき仕事をリストアップし、システムを使って部下に割り振る。発注時点で入力するのが「件名」と「期限」だ。部下は仕事が終わった時点で完了の報告をする。

三島氏は「多くの企業は、管理者が部下の仕事を把握できていない」と話す。結果的に特定の人に仕事が集中したり、非効率な残業を招いたりすることになる。

三島氏はパナソニックのグループ会社出身。自治体向けのIT(情報技術)システム営業などを15年間経験した。その後、複数の企業でITシステムの営業を手がけたのち、2013年にアクチュアライズを創業した。

大手企業のグループで会社生活を送る中で常に感じたのは「もっと日本の企業は効率的な働き方ができないのか」という点だった。

メール排除、チャットで効率化

三島社長は副業として、三味線などの教室を運営している

特に問題と感じたのは社内向けのメールでのやりとりの多さだ。上司からの仕事の依頼はたいてい、メールで来ることが多い。気がつくとトレーには社外からの受信も含めて膨大なメールが蓄積する。返信が遅れ、結果的に仕事の受発注が滞ってしまうこともある。

同社のシステムはメールを一切使わずに仕事の受発注や確認ができるのが特長だ。システム内のチャットを活用し、質問や応答が即座にできる。

さらに、上司は部下が終えた仕事に対し、5段階で評価をする。「仕事を終えるごとに評価ポイントがもらえる仕組みが最大の利点」と三島氏。評価が獲得できることで、与えられた仕事を時間内にこなす意識につながり、結果的にチームの生産性があがるという。

システムは3人程度のチームから導入でき、中小企業が主な顧客だ。システムを使い、より業務効率を向上するためのコンサルティングなども手がけている。

実は、三島氏は起業家でありながら別の顔も持つ。27歳から三味線の師範として活動。06年から、和楽器などの古典芸能を教える教室「和奏伎」を大阪市内で運営している。流派があり、敷居が高いイメージをもたれやすい古典芸能を初心者でも学べる。学生や大人、外国人留学生までが入門する。

古典芸能の教室だが、仕組みにはITをフル活用している。受講者はインターネットが使える環境のある人に限定。申し込み手続きやお知らせはすべてインターネットで行う。さらに教室に通えない生徒は「スカイプ」を使って、遠隔で和楽器などのレッスンが受けられる。

「ITを活用することで、若い世代にも古典芸能に入りやすくしている」(三島氏)。和楽器奏者の高齢化が進むなか、子どもへの指導も余念がない。

自ら副業を実践するのは「残業するぐらいなら副業できる」という仕事に対する信念からだ。ITを活用し、これまで効率化できなかった業務を減らせるようになった。得られた時間で副業をしたり、スキルを高めたりして「個人がもっと時間を有効に活用できるようにすべきだ」と三島氏は力を込める。

アクチュアライズでは現在、残業を減らすシステムだけでなく、スマートフォン(スマホ)のカメラを使って撮影した画像「スクリーンショット」を風景の定点撮影などに活用できるシステムも販売している。三島氏が長年、自治体向けの営業を手がけてきた経験を生かし、新規事業の育成にも余念がない。

(大阪経済部 川上梓)

[日経産業新聞 2018年3月30日]

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