2018年12月16日(日)

JR四国 鉄道事業の赤字、年115億円 自治体負担に慎重
公共交通のゆくえ

2018/3/29 23:00
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四国4県とJR四国は29日、鉄道網維持に向けた懇談会を開いた。同社は鉄道事業の収支状況を報告。路線別は出さなかったが、年約115億円の赤字構造であることが示された。収入の底上げに向けては周期性のあるダイヤの整備などの提案があった。ただ、鉄道事業単独での黒字は国鉄の分割・民営化当時から見込まれておらず、自治体関係者からは「国の役割の明確化が欠かせない」などと自治体負担に慎重な意見が相次いだ。

29日の懇談会では鉄道運営のコストなどについて議論した(高松市)

29日の懇談会では鉄道運営のコストなどについて議論した(高松市)

「四国における鉄道ネットワークのあり方に関する懇談会」(座長・正司健一神戸大学大学院教授)は学者や経済界代表など計18人で構成し、29日は2017年8月に続く2回目の開催。鉄道運営に必要なコストと将来像をテーマにした。

JR四国は路線の16年度の収支状況について、14線区を平均通過人員(1日平均の旅客数)で3グループに大別して公表。いずれもコスト超過で、「4000人以上」は31億円、「1000~3999人」は57億円、「1000人未満」は26億円程度だった。

収支のバランスは利用が少ないほど厳しい。同社の鉄道収入の4割は瀬戸大橋を通る対本州輸送が占めており、四国内の人口が急速に減る中、四国外との交流人口の拡大が収入の落ち込みを抑えている格好だ。

利用促進策については、駅の設備を改良し一定の周期で運行するパターンダイヤ整備、駅中心の街づくり、バスなどとの乗り継ぎ機能の強化、設備を自治体に譲渡し運行をJR四国が担う上下分離方式などが選択肢にあがった。

一方、そもそも鉄道事業の赤字は1987年の国鉄の分割・民営化からJR九州、JR北海道とともに想定された。JR四国は営業黒字が1度もなく、国からの支援金である2082億円の経営安定基金の運用益で帳尻を合わせてきた経緯がある。その運用益も当時の高い固定利回りから自主運用に切り替わり細った。鉄道事業で採算を取るのは難しく、行政支援を求める声も強い。

しかし、懇談会に参加する自治体側からは「(赤字は)事業者、自治体、利用者の責任ではない」「公費負担に住民らの目は厳しい」といった意見が相次いだ。赤字補填スキームが崩れつつある中、まずは国が地方の公共交通をどう位置づけて支えていくか「原点に立ち返って示すべきだ」(浜田恵造・香川県知事)との指摘があった。

懇談会は今夏をメドに中間報告をまとめる予定。JR四国ではマンションや宿泊特化ホテルなど非鉄道事業も相次ぎ打ち出しており、会社全体として持続可能な収支構造を描けるかも課題となる。

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