有翼の起業家 後進へ啓示

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2018/3/30 6:30
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多額の資金を一度に提供できる機関投資家の長所と、親身になって起業家と接する立場にいるエンジェルの利点。当面は両者の「いいとこ取り」が現実解となりそうだ。

ベテランエンジェル負けじ

40代以上のベテランエンジェルも健在だ。豊富な経営経験を生かし、マイペースで投資を続けている。

「エンジェルはライフワーク」と語るのはUSEN-NEXT HOLDINGS島田亨副社長(53)だ。共同創業した人材サービス会社のインテリジェンスが2000年にIPOした。島田氏はインテリジェンス株を現金にして副社長を退任した。売却で得た資金の3分の1は社会に還元しようと決めたという。

リターンはあまり気にせず、対話を通じた起業家の育成に取り組む。人材サービスのビズリーチ(東京・渋谷)や、音声翻訳機を開発するログバー(東京・渋谷)など75社以上に投資する。00年代前半に投資した、廃棄物再資源のリファインバースは、16年にIPOした。

ディー・エヌ・エー共同創業者の川田尚吾氏(49)がエンジェル投資を始めたのは、リーマン・ショックがあった08年。学生時代に起業したときに資金調達に苦労した経験から「この国に圧倒的に足りないのは資本家」と以前から感じていた。実際、エンジェル投資を始めた08年には、創業間もないスタートアップに出資する独立系VCはほとんどなかった。

「プロダクト(製品・サービス)をつくる能力」を重視し、これまでに約30社に投資した。事業の成長に応じて追加出資もする。フリークアウトとウォンテッドリー、はてなの3社がIPOを果たした。ほかにもニュースアプリ運営のスマートニュース(東京・渋谷)、画像共有ツールのNOTA(京都市)など多くの成長株を抱える。

「鼻折ってやる」

運用会社レオス・キャピタルワークスの藤野英人社長(51)はファンドマネジャー業の傍ら、飲料水宅配のプレミアムウォーターホールディングスを共同創業してIPOさせた経験を持つ。これまでに7000人の経営者と会ってきたが、「本当に好きなのはスタートアップ」と打ち明ける。

生鮮品のネット流通を手がける八面六臂(はちめんろっぴ、東京・中央)などに投資した。「起業家は自信過剰な人が多い。『まぐれで成功しただけ』と鼻を折りにいくのが僕の役割」と言う。AIを活用したサービスを開発するHEROZ(東京・港)は2年半前、監査法人主催の上場セミナーで出会った。「資金繰りが厳しいので助けてほしい」と頼まれ出資した。同社は4月20日に東証マザーズに上場する予定だ。

(企業報道部 鈴木健二朗)

[日経産業新聞 2018年3月29日付]

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