2019年8月24日(土)

有翼の起業家 後進へ啓示

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2018/3/30 6:30
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リスクを取って私財をスタートアップ企業に投じるエンジェル(個人投資家)。起業のエコシステム(生態系)を構成する重要な要素だ。日本でも起業経験者がエンジェルになって後進を支援する動きが広がってきた。

「壁打ちの相手になります」。交流サイトを通じて起業家にこう呼びかけているエンジェルがいる。習い事仲介サイトを運営するコーチ・ユナイテッドの創業者、有安伸宏氏(36)だ。有安氏は2013年に自社を売却した後、エンジェルとして活動している。

壁打ちとは、テニスの練習方法の1つで、壁に向かってボールを打つこと。起業家が打ってきた「悩み」というボールに「答え」という返球を出す意味を込めている。

買収提案に応じるか、自主独立でIPOをめざすべきか――。17年春、有安氏にこんなボールが飛んできた。打ち込んできたのは決済サービスのカンム(東京・港)の八巻渉社長(32)だ。

自主独立を助言

有安氏はIPOとM&A(合併・買収)の長所・短所を説明、八巻社長はIPOを目指すことにした。有安氏は成長戦略の説明方法を伝えた。八巻社長は資料を作り直し、ネット広告のフリークアウト・ホールディングスから4億円を得た。

日本経済新聞がエンジェル19人に行ったアンケートでエンジェルになった理由を複数回答で尋ねたところ「自分の知識や経験を生かして社会貢献ができる」が84%で最も多かった。「後輩の起業家を育てたい」と答えたエンジェルも79%いた。

投資対象とする起業家の条件でもこうした傾向が強く表れている。

エンジェルが投資判断で最も重視している要素を複数回答で聞いたところ、最も多かったのは「市場の成長性」(68%)や「プロダクト・技術力」(42%)ではなく「経営者の人間性」(90%)だった。

「すぐに投資を決めてくれた」。献立作成アプリ「タベリー」運営の10X(テンエックス、東京・中央)の矢本真丈社長(30)は創業して2カ月後の17年9月にエンジェルの赤坂優氏(34)と会った日をこう振り返る。

赤坂氏は婚活アプリ「ペアーズ」を運営するエウレカ(東京・港)の創業者だ。15年に株式を売却した資金を元手にエンジェル投資を始めた。

「次の資金調達がしやすくなるように株価はあまり高くし過ぎない方がいい」「最初から広報に力を入れるべきだ」

赤坂氏からの助言を受けた矢本社長は12月に6人のエンジェルから5600万円を調達、タベリーのサービスを始めた。

10Xの矢本社長はベンチャーキャピタル(VC)から出資の提案を受けたことがあるが、断った。「ビジネスの修羅場を経験しているエンジェルに株主になってほしい」と考えたからだ。元ミクシィ社長でエンジェルでもある朝倉祐介氏(35)は「エンジェルは上場後も継続して支援できるのが強み」と指摘する。

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