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日医工、M&Aで後発薬首位固める エーザイ子会社買収

後発薬大手の日医工が新たなM&A(合併・買収)に踏み切った。28日、エーザイ子会社のエルメッドエーザイ(東京・豊島)を約170億円で買収すると発表した。薬価引き下げ圧力が強まり、競争環境が厳しさを増す中、さらなる規模拡大で収益を確保する。沢井製薬東和薬品を引き離して国内首位の座を固め、将来は世界トップ10入りを目指す。

「ジェネリック(後発)医薬品は規模で戦う時代だ」。日医工の田村友一社長は28日、本社で開いた記者会見でこう強調した。

同社はまず4月にエルメッドエーザイの株式の20%を取得。原薬事業や販促の協業の成果を見ながら段階的に株取得を進め、2019年4月に完全子会社とする予定だ。

薬価下げ圧力に危機感

エルメッドエーザイの17年3月期売上高は約280億円。日医工によると買収で国内シェアは約15.8%(17年9月時点で計算)となり、沢井製薬をかわして1位の座を固める。21年3月期までには20%を目指す。両社を合わせると国内シェアが5割を超える品目が11あり「市場優位性が高まる」(田村社長)。薬の原材料の共同購買で調達コスト低減も見込む。

日医工はこれまでも後発薬事業を中心にM&Aを繰り返してきた。04年にマルコ製薬の事業を引き継いだほか、08年にはテイコクメディックス、14年にはアステラス製薬子会社の工場を買収。16年には米セージェント・ファーマシューティカルズを買収した。

04年11月期に182億円だった連結売上高は17年3月期で1633億円に増え、18年3月期は2000億円を見込む。

規模拡大を急ぐ背景にあるのが市場環境の変化だ。政府は後発薬の普及を促す一方、膨張する医療費を抑えるため、これまで2年に1度だった薬価改定を21年度から1年に1度へ改める方針だ。田村社長はもともと安価な後発薬についても「価格プレッシャーが増している」と危機感を示す。

海外市場開拓に課題

エーザイとの戦略提携も進める。18年10月以降、同社が持つ「地域包括ケア」に関わる医療機関や薬局向けの販路を生かし、日医工ブランドの製剤品を販売する。

政府は介護から医療まで地域一体で高齢者らを支える地域包括ケア構想を進めており、同領域の需要開拓は製薬会社の共通課題だ。田村社長は「他のジェネリックメーカーと違うアプローチができる」と期待する。国内では珍しいケースとなる新薬大手と後発薬大手の連携効果を引き出す。

今後の課題は海外市場の開拓だ。国内首位の座を固める日医工も、世界の後発薬市場ではトップ10以内に入らない。国内市場の伸びが鈍る動きがみられるなか、海外で新たなM&Aに踏み出す可能性もある。(富山支局 伊地知将史)

 ▼後発薬 特許が切れた新薬と同じ成分で作った医療用医薬品。ジェネリック医薬品とも呼ぶ。研究開発費がほぼ不要なため新薬より低コストで生産でき、割安な価格で供給できる。国は医療費削減を目的に後発薬シェアを2020年9月までに80%以上に高める目標を掲げる。日本ジェネリック製薬協会によると17年7~9月時点のシェアは68.8%と、前年同時期より3.7ポイント上昇した。

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