スケートの刃、新潟・燕で研ぐ 金型の技生かし五輪へ
滑りの良さが魅力 フィギュア用で試験滑走

2018/3/29 1:00
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新潟県燕市でフィギュアスケートの靴に使うブレードを新しい産業に育てる取り組みが始まった。同市の呼びかけで市内の製造業など9社からなる開発研究会が昨年発足。3月20日には初めて試作品を使った試験滑走を実施した。課題を見つけ出しながら、早期の量産化を目指す。

平昌五輪で金メダルを獲得したロシアのアリーナ・ザギトワ選手らが事前合宿で使った新潟アサヒアレックスアイスアリーナ(新潟市)。20日はブレードの試作品のお披露目の場となった。国際スケート連盟技術認定員の岡崎真氏や県スケート連盟理事長の伝井達氏が氷上を滑りながらブレードの感触を確認した。

スケート靴のブレードは金属の溶接加工を手がけるゴトウ熔接や研磨加工の徳吉工業など、9社が共同開発した。刃の材質や形状が異なる12種類の試作品を製造し、フィギュアのコーチとして活躍する岡崎氏らが試した。片足に燕市製、反対の足に海外製の刃を付けて、滑りや感触の違いを確かめた。

同市でブレード作りが始まったのは約2年前。きっかけは伝井氏がブレードの現状について燕市の鈴木力市長と意見交換したことだ。ブレードはほとんどが欧米製。初心者には値段も高く、修理にも時間がかかるなど課題があった。

燕市は高度な金属加工技術を持つ企業が多い。鈴木市長はステップやスピン、ジャンプなど多様な動きを受け止める刃の開発は国内外に技術力を訴える機会になるとみて、開発に乗り出すことを決めた。

昨年7月には岡崎氏らを講師とする勉強会を開き、必要な加工技術などを学習。同8月には9社と技術開発拠点の燕三条地場産業振興センター(三条市)などが参加する「燕市フィギュアスケートブレード開発研究会」を設け、開発を進めてきた。鋼材の調達から切り出し、研磨まで、9社が互いの強みを生かしながら性能を高める。

20日の試験滑走では金型などに使われるダイス鋼のブレードが既製品よりも滑りが良いことが分かった。粉状の石や樹脂と研磨剤を混ぜて磨く「バレル研磨」と呼ぶ技術を採用すると、ブレードの側面に氷の削りくずがついてしまうといった課題もみえたという。

同市や開発研究会では有識者らの助言を受けて改良を進め、19年度までに量産化へめどをつけたい考えだ。同市商工振興課の担当者は「まずは初心者向けブレードの製品化を目指す。将来的には五輪選手が使用してくれる高品質の製品開発にもつなげたい」と意気込んでいる。

(篠原英樹)

[日本経済新聞朝刊新潟経済面2018年3月29日付]

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