2018年4月25日(水)

仮想通貨への期待今も 海外勢、起業家祭典で発言

スタートアップ
2018/3/28 18:00
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 仮想通貨と、その基盤を支えるブロックチェーン(分散台帳技術)に注目が集まっている。28日に東京ビッグサイト(東京・江東)で開幕したスタートアップ企業の祭典「スラッシュトウキョウ」では、関連講演やパネル討論が相次ぎ開かれた。仮想通貨を巡っては1月末にコインチェック(東京・渋谷)で不正流出事件が起きたばかり。国内では投機の対象として見られがちだが、海外企業はブロックチェーンを決済などに活用し、新たなビジネスにつなげようとする姿勢を鮮明にしていた。

スラッシュトウキョウで基調講演した米リップルのステファン・トーマス氏

スラッシュトウキョウには国内外のスタートアップ600社が参加する

 「仮想通貨業界の関係者にとっては試練の時だ」。インフィニティ・ベンチャー・パートナーズの田中章雄・共同代表パートナーはこう語った。1月末に仮想通貨交換業者コインチェックから580億円相当の仮想通貨NEMが不正流出してから2カ月。ベンチャーキャピタル(VC)の立場から田中氏は「日本は世界有数の(仮想通貨の)取引高を誇るが、不正流出や詐欺といった仮想通貨を巡る事件でも世界ナンバーワンだ」と懸念を示した。

 台湾の仮想通貨交換業者、コビンフッドのポポ・チェン最高経営責任者(CEO)も「コインチェックは仮想通貨を(ネットと切り離して管理する)コールドウォレットを行っていなかった。非常に危険な体制で運営していた」と指摘した。

 ただ、仮想通貨の流動性の高い日本市場は、海外プレーヤーの注目の的だ。

 ブロックチェーン技術を手がけるスイスのリスク財団の共同創業者、マックス・コーデック氏は「日本は我々にとって世界で3番目に大きい市場だ」と明かす。日本では、コインチェックが同財団と同名の仮想通貨「リスク」を扱っていた。2月には仮想通貨交換業者ビットフライヤー(東京・港)もリスクを扱い始めた。コーデック氏は「扱う企業をさらに増やしていきたい」と意気込んでいた。

 仮想通貨の基盤となっている技術で、取引履歴を参加者同士で認証するブロックチェーンをビジネスに活用する動きも活発だ。テンエックス(シンガポール)は、仮想通貨を小売店などでの決済に使えるカードを展開している。同社は2017年6月に仮想通貨技術を使った資金調達(ICO=イニシャル・コイン・オファリング)で8000万ドル(約84億円)を調達し開発につなげた。

 スイスの世界経済フォーラム(WEF)は27年までに世界の国内総生産(GDP)の1割がブロックチェーン上に保管されると予測するが、課題は多い。テンエックス創業者のポール・キティウォンサンソーン氏は「決済の手数料が高額なことに加え、普及には処理能力を引き上げる必要がある」と指摘する。

 米リップルはブロックチェーン技術を使い、国際的な送金速度を上げようとしている。同社にはSBIホールディングスも出資。ステファン・トーマス最高技術責任者(CTO)はサイトの閲覧者が運営者に直接支払いできる技術を紹介した。サイトの運営者は質の高い情報や動画を掲載しても、収益は広告に依存することが多い。同氏は基調講演で「ウェブサイトの新しいビジネスモデルを築き上げたい」と力を込めた。

 スラッシュはフィンランド発祥の欧州最大級のスタートアップイベントだ。日本での開催は4年目で、過去最多の600社が参加。29日までの2日間で約6000人が来場する見込みだ。2日目にはスタートアップが事業モデルを競い合うピッチコンテストで、国内外の80社の中から優勝者を決める。

(企業報道部 駿河翼、矢野摂士)

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