2019年9月18日(水)

大阪、ミナミがキタを逆転 世界の投資マネーが流入
公示地価の商業地 京都府は上昇率全国トップ

2018/3/28 1:31
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関西2府4県の商業地の公示地価(1月1日時点)はインバウンド(訪日外国人)効果が如実に表れた。商業施設やホテル用地の需要増を追い風に京都府の上昇率が6.5%と全国トップとなり、上昇率上位10地点のうち6地点を京阪神で占めた。大阪府では1970年の調査開始以来、初めてミナミ(難波・心斎橋エリア)の最高価格がキタ(梅田エリア)を逆転した。

大阪

大阪府は5年連続で上昇し、上昇率4.9%は全国4位。府内上昇率トップ5のうち4カ所をミナミが占め、22.5%上昇した戎橋北詰の商業ビル「クリサス心斎橋」が5年連続トップだったキタの「グランフロント大阪南館」(7.1%上昇)から最高価格地点の座を奪い取った。「インバウンド拡大が背景にあるミナミとオフィス主体のキタで勢いの差が出た」と不動産鑑定士の真里谷和美氏。

このビルのオーナーは昨年、シンガポールの不動産投資信託(REIT)、クリサス・リテール・トラストから米投資ファンドのブラックストーン・グループに移った。不動産情報大手、ジョーンズラングラサール(JLL)関西支社の秋山祐子氏によれば「府内最高価格地点が外資間で取引されたことは、世界がミナミのポテンシャルを高く評価している証し」だ。

海外高級ブランド店が集積する心斎橋エリアでは物件取引が活況だ。日本リテールファンド投資法人の資産運用会社、三菱商事・ユービーエス・リアルティは2018年1月、伊高級ブランド旗艦店が入居し「プラダビル」と呼ばれる商業ビル「心斎橋GROVE」を150億円で取得した。

1坪(3.3平方メートル)当たり約1億5千万円は東京・銀座の公示地価に匹敵する。「周辺の賃料は東京・表参道の水準に届きつつあり、今後のインバウンド需要増も期待できる」と同社の担当者。

JLLによると17年の関西エリアの不動産投資額は6507億円。心斎橋エリアなどミナミがけん引し16年から35%増えた。「ミナミの地価は世界の主要都市に比べ安く高収益が見込めるため、外資を含めた投資マネーを呼び込んでいる」と秋山氏。

星野リゾートが新今宮に進出するなどミナミの周辺地域で相次ぐホテル開発も地価を押し上げている。ただ、計画乱立で近い将来の供給過剰感も出ており、「用地取得を見送るケースも出ている」(不動産関係者)。

ホテル用地の需要が減退すれば、ここ数年続く高水準の地価上昇が鈍化するとの見方もある。一方で統合型リゾート(IR)や25年国際博覧会(万博)の誘致は地価の押し上げ要因だ。不動産サービス大手CBREの山口武氏が語るように、今後は「大型プロジェクトの行方次第」となる。

京都

大阪府と並び5年連続で上昇した京都府では、京都駅近辺などでの地価上昇が目立った。27.3%で全国3位の上昇率となった商業ビル「KKDビル」のある京都市南区ではホテルなど再開発計画が進む。土地の落札ではホテル開発業者に「マンション開発が競り負けている」(不動産鑑定士の森口匠氏)という。

京都駅南側では「リーガロイヤルホテル」を運営するロイヤルホテルが2020年夏の完成を目指して8年ぶりの新ホテルを建設中。JR西日本も19年春、宿泊特化型ホテルを2棟開業する見通しで、京阪ホールディングスも20年までに2つのホテル新設を計画する。

京都市内のホテル開発は四条河原町近辺や清水寺・祇園に近い東山に集中していた。ただ、地価高騰と用地不足で取得が難しくなり、主要観光地からやや遠い「駅南側でも市中心部と同水準の高額取引が増えている」と地元の不動産鑑定士。ホテル用地の対象拡大が地価上昇を招いている。

兵庫県は3年連続の上昇で、再開発が進む三宮の上昇率が全国トップ10に入った。不動産鑑定士の多田敏章氏は「大阪は高すぎるという層の需要が神戸へにじみ出てきている」とみる。

奈良県も10年ぶりのプラス。インバウンド増で飲食店や物販店が増え、近鉄奈良駅やJR奈良駅周辺の値上がりが目立った。滋賀県は5年連続で上昇した。大津市や草津市など県南部で上昇し、近江八幡市は前年の横ばいから上昇に転じた。和歌山県は27年連続のマイナスだったが、和歌山市は3年連続上昇した。

住宅地、4県で下落
 住宅地の地価は10年ぶりに上昇した京阪2府とその他4県で明暗が分かれた。インバウンド効果で和歌山を除き軒並み上昇した商業地と異なり、人口減のインパクトを反映した結果となった。
2年連続の横ばいから上昇に転じた大阪府では駅まで徒歩圏の上昇が続き、徒歩圏外との二極分化する傾向が鮮明となっている。京都府では京都市の中京区、上京区などがけん引。特に京都御苑周辺などの地価が高い。
 兵庫県は10年連続の下落だった。16年のJR摩耶駅開業で利便性が向上した神戸市灘区が上昇率トップを維持した。ただ多可町や西脇市などの北播磨地域は27年連続で下落した。
 滋賀県は10年連続で下落した。京阪神への通勤が便利な草津、守山、栗東、野洲の4市は上昇したが、大津市や長浜市のマイナスが響いた。奈良県は10年連続の下落。奈良市の学園前は住環境と利便性の良さから富裕層に人気があり上昇したが、県西部と南部で下落が相次いだ。和歌山県は27年連続のマイナスだった。
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