2019年8月19日(月)

九州・沖縄の公示地価 福岡市の商業地2ケタ上昇
10年ぶり

2018/3/28 2:00
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2018年の九州・沖縄の公示地価(1月1日時点)は、福岡市で商業地の上昇率が10年ぶりに2ケタに達するなど、回復基調が鮮明になっている。訪日客の増加や震災復興を追い風に、大分県や熊本県でもプラスに転じた。二極化が指摘されてきた住宅地でも、都市部から離れた周辺地域にも需要が広がっている。沖縄は好調を維持した。

新しいマンションが立ち並ぶJR千早駅周辺(福岡市東区)

新しいマンションが立ち並ぶJR千早駅周辺(福岡市東区)

商業地は、福岡県が3年連続で上昇した。けん引役は福岡市で上昇率は10.6%に達した。北九州市も0.6%上昇し、2年連続のプラス。

背景には、訪日客の増加や好調な企業業績を受け、ホテルやオフィスの需要が高まっていることがある。博多駅前2丁目は、地下鉄七隈線の延伸計画なども追い風に19%上昇した。ただ、「(土地の仕入れの競争環境は)かなり高いレベルになっている。福岡は東京以上の上昇になる地域がある」(JR九州の青柳俊彦社長)と、警戒する声も聞かれる。

佐賀県は0.1%のマイナスと26年連続で下落したものの、下落幅は6年連続で縮小している。佐賀市と鳥栖市は2年連続の上昇。福岡に近く交通の便のよい県東部と、伊万里市(3.7%低下)など西部の格差拡大が続いている。

長崎県の上昇率は1.3%と、26年ぶりにプラスに転じた。JR長崎駅周辺など上昇率の高い地点も現れており、長崎市の上昇率は拡大。上昇地点数も増加した。一方、五島市(5.3%下落)や南島原市(3.7%下落)など、離島や半島部では下落率は依然として大きく、下げ基調に歯止めがかかっていない。

熊本県は商業地が26年ぶりに下落から上昇に転じた。熊本市の中心商業地を核に、金融緩和政策を背景にした不動産投資が活発。都市部の上昇が全体の水準を押し上げた。熊本地震の被害が大きかった益城町は、復旧・復興の進展に伴って回復傾向が顕著だ。一方で阿蘇市は、熊本市方面への交通インフラの整備に時間がかかっていて観光客数が低水準のままなのが響いて下落した。

大分県の上昇率は0.2%と、26年ぶりのプラス。大分市は2年連続の上昇となり、上昇率は前年から0.7ポイント拡大した。「大分市内では収益性の高い土地とそうでない場所の選別が進んでいる状態」(不動産鑑定士の坂本圭氏)。英インターコンチネンタル・ホテルズ・グループが進出を決めた別府市は0.2%上昇し、26年ぶりのプラスだった。

宮崎県は、1.3%下落し、27年連続のマイナスだった。9市8町で下落したが、下落率は前年と同じだった西都市のほか、都城市と串間市、高原町を除いて軒並み縮小、全体では0.3ポイント縮小した。鹿児島県は郊外の大型商業施設への顧客流出などで県全体では27年連続の下落だったが、下落率は0.8ポイント改善した。複数の再開発計画がある鹿児島市は、わずかながら10年ぶりに上昇した。

沖縄県の商業地は5年連続で上昇し、上昇率は前年より2.4ポイント拡大して5.6%となった。好調な県内景気や観光客増加を背景に土地需要は旺盛だ。

■住宅地上昇に広がり

住宅地では、福岡県が4年連続の上昇だった。上昇市町数も前年の21市町から25市町に増えた。人口増を追い風に福岡市中心部の好調が続いていることに加え、同市東区などJR沿線にも需要が波及している。

JR千早駅の周辺地区では上昇率が12.0%に達し、全国で10位にランクインした。低金利環境を追い風にマンション建設が相次いでおり、JR春日駅周辺といった郊外エリアでも上昇率が10%に迫る地域が急増している。

佐賀県は20年ぶりの横ばいだった。佐賀市と吉野ケ里町が16年ぶりに上昇。鳥栖市と基山町は18年ぶり上昇、小城市も17年ぶりに上昇と、商業地と同様に東高西低が顕著だ。福岡通勤圏で人口増加が続く鳥栖市は供給が不足している。

長崎県は19年連続でマイナスだったものの、下落率は縮小した。長崎市は横ばいから上昇に転じた。中心部の高価格帯の住宅地や新築マンションの販売が好調だった。一方、離島や半島部などでは下落傾向が続いている。長崎市でも階段道路など車両が通れない住宅地や斜面地などの需要は弱く、地価の二極化が進んでいる。

熊本県は2年ぶりに上昇した。熊本市は、住宅の再建に伴う宅地需要や低金利を背景にした不動産需要が多く、5年連続の上昇になった。熊本駅の周辺では再開発による発展を見込んだマンション需要が多い。

大分県は19年ぶりの上昇となった。駅南の再開発が進み、マンション建設が続く大分市は昨年から上昇に転じ、今年は上昇率を0.6ポイント拡大した。宮崎県は18年連続の下落となったが、下落幅は0.1ポイント縮小した。

鹿児島県は20年連続の下落だったが、県全体の下落率は0.6ポイント縮小した。

沖縄県は5年連続で上昇した。上昇率は5.5%と、17年に続き全国1位だった。127地点のうち下落は宮古島市の2地点のみ。不動産鑑定士の高平光一氏は「那覇市の高騰で需要が周辺市町村に流れ、外延的に上昇地域が増えている」と指摘する。

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