公示地価、北関東3県とも下落幅縮小 上昇地点38%増
国土交通省が27日発表した2018年1月1日時点の公示地価によると、北関東3県で全用途平均は下落したものの下落幅は縮小した。鉄道沿線などで住宅地や商業地の土地需要が回復しているほか、高速道路網の整備により、工業地でも地価が上昇する地点が増えた。全国でも地価上昇の波が広がっているが、人口減少が深刻な地域や災害の影響が残る地域では依然下落が続いている。

県別の全用途平均の下落率は茨城が0.6%で栃木が0.7%、群馬は0.5%だった。茨城で0.3ポイント、栃木で0.2ポイント、群馬で0.1ポイント縮小している。
上昇した地点の数は前年より38%多い164地点だった。県別では茨城が17地点増の38、栃木が17地点増の71、群馬が11地点増の55となった。
茨城は工業地の変動率がプラス0.6%と25年ぶりに上昇に転じた。17年2月に首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の県内区間が全線開通し、県西地域に加えて「近隣の他県と比べ工業地の価格が比較的安い県南地域でも工業地の需要が伸びている」(不動産鑑定士の塚本修一氏)という。
住宅地は9地点増え26地点で上昇した。都心への通勤通学アクセスの良い、つくばエクスプレス(TX)沿線のほか、鹿嶋市でも上昇。水害などに備え「高台の住宅地需要が高まっている一方で、物件の供給が限定されている」(塚本氏)ことが上昇につながった。
栃木は宇都宮市と小山市で住宅地の変動率が26年ぶりにプラスになった。商業地では宇都宮市で0.6%上昇。小山市でも0.1%上昇し26年ぶりにプラスに転じた。
不動産鑑定士の茂垣雅徳氏は「宇都宮市では中心市街地の活性化策によりJR宇都宮駅西側の取引回復が顕著になっている」と指摘。小山市では土地区画整理事業が進んだ住宅地や周辺の商業地の人気が高いという。
群馬では高崎市の住宅地が変動率0%となり、26年ぶりに下落から脱した。商業地ではプラス0.9%だった。不動産鑑定士の石田寛氏は「JR高崎駅前では(17年秋に開業した)高崎オーパに加えて、高崎アリーナや空中歩道など民間・公共ともに投資が集中しており、不動産の需要も高まっている」と話す。
前橋市の商業地では、JR前橋駅と新前橋駅に近い幹線道路沿いで26年ぶりにプラス地点が出た。不動産鑑定士の福田清隆氏は「前橋市は高崎や太田に比べて街の外観の変化は少ないが、商業施設に近い利便性の高さなどから潜在的な価値が上がっているようだ」と分析している。