2018年11月19日(月)

米、対中強硬の裏で取引 関税で「脅し」譲歩迫る

2018/3/27 22:02
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【ワシントン=鳳山太成、北京=原田逸策】トランプ米政権が中国の知的財産侵害に制裁関税を発動する構えを崩さぬなか、水面下で米中両政府が「取引」に動き出した。米国は巨額の対中貿易赤字の削減で具体策を出すよう圧力を強める。関税発動をちらつかせるなど強硬姿勢を示しつつ、中国から譲歩を引き出す戦略だ。中国は低姿勢を貫き、話し合いで貿易戦争を回避する道を探る。関税発動を避けられるかどうか、山場を迎える。

2017年11月、共同記者発表で握手するトランプ米大統領(左)と中国の習近平国家主席(北京の人民大会堂)=共同

2017年11月、共同記者発表で握手するトランプ米大統領(左)と中国の習近平国家主席(北京の人民大会堂)=共同

トランプ氏は22日、最大600億ドル(約6兆3000億円)の輸入品に25%の関税を課すと表明した。3月中にも具体的な対象品目を提示。30日間かけて意見を募り、その後に品目を確定する。発動まで約2カ月かかるとされ、それまでに折り合えるかが焦点となる。

ムニューシン財務長官は25日の米FOXテレビで、習近平(シー・ジンピン)国家主席の経済ブレーンである劉鶴副首相と24日に電話協議したことに触れ「中国の市場開放や関税の削減、技術移転の強要停止について合意できるかどうか話し合っている」と説明した。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、米政権は自動車関税の引き下げ、米国製半導体の購入増、金融分野の開放を求める書簡を既に中国側に送った。ムニューシン氏の訪中も検討中だという。

米国が求めるのは今後1年間で1000億ドルの貿易赤字削減につながる具体策。17年の赤字額は3752億ドル。トランプ大統領は22日「中国とは非常に大きな交渉のさなかにある。どうなるか見極める」と述べ、交渉の結果次第で制裁を見直すことに含みを持たせた。

米国は鉄鋼の輸入制限の発動を見送る代わりに、韓国から自動車貿易などで譲歩を引き出した。ムニューシン氏は「我々の戦略がうまくいっている」と強調する。トランプ政権は関税の「脅し」をかけながら、譲歩を迫る戦略に自信を深める。

一方、中国は米国の高圧的な姿勢に一貫して冷静に対処している。

「話し合いで意見の違いや摩擦を乗り越えることを堅持すべきだ。さもなければ米中両国にとっても世界にとっても不利だ」。李克強(リー・クォーチャン)首相は26日、北京市内で米アップルのティム・クック最高経営責任者ら海外企業トップとの会談で語った。

中国は23日に鉄鋼とアルミニウムの輸入制限の対抗措置として、豚肉やワインなど計128品目に最大25%の関税をかける案を公表した。ただ、輸入額が大きな大豆、半導体、飛行機などは対象に含まれない。国内では「軟弱だ」との批判すら出るが、あくまで交渉による解決を優先する姿勢をみせたといえる。

制度や法律の縛りが先進国ほどきつくない中国は、権力が集中する習氏の一存でさまざまな譲歩案を繰り出せる。官僚らも水面下の交渉に自信を持っているようだ。

17年10~12月は外需が中国の経済成長率を2ポイントも押し上げた。金融危機後の最高水準だったとみられる。外需がけん引するうちに不良債権処理など国内の構造改革を進める――。貿易戦争になればこんな経済運営のシナリオも崩れかねない。

ただ米中間の交渉がまとまらず、関税を発動する可能性もある。ムニューシン氏は「許容できる合意に達しない限り、関税発動を保留することはない」とクギを刺す。最終的に関税を発動しても「米経済に大きな影響を与えるとはみていない」と強気だ。

トランプ政権内では、米通商代表部のライトハイザー代表やロス商務長官など、対中強硬派の勢力が増している。最終的にトランプ氏が中国との交渉をどう評価して行動に移すかは見通せない。

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