公示地価、実需が変える街並み 再開発「逆転」促す

2018/3/27 17:00
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緩やかな地価上昇が三大都市圏の街並みを変えようとしている。全国の住宅地の最高価格は再開発が続く東京都港区の赤坂地区で、いわゆる億ションが立ち並ぶ人気エリアへと変貌した。大阪の商業地は訪日客が多い心斎橋地区が梅田地区を逆転し、中心地が移った。緩和マネーに加えて実需の裏付けで、都市部はしばらく上昇基調が続きそうだ。

住宅地の全国トップは東京・赤坂エリアにかわった

2018年の住宅地の全国トップは東京の赤坂エリアで、1平方メートルあたりの価格は401万円。17年に比べて9%上がり、それまでトップだった千代田区の番町エリアを超えた。国土交通省の鑑定員は「富裕層によるマンション需要が旺盛で、複数の再開発事業が進んでいることが大きい」と話す。IT(情報技術)関連の経営者らが住居を移している。

■五輪後も「上昇基調は維持」

東京では18年から20年にかけて丸の内や大手町などでオフィスの大量供給が続く。都市未来総合研究所の平山重雄氏は「都市の商業地が大きく崩れる要素はしばらくない」と指摘。そのうえで「20年の東京五輪後も、伸び率は鈍化するが上昇基調は維持する」と話す。

実需は大阪の「顔」も変えた。大阪では商業ビル「クリサス心斎橋」が前年より23%増の同1580万円となり、商業地トップだった梅田地区を上回った。

商業地の上昇率が全国2位だった大阪・道頓堀のフグ料理店「づぼらや道頓堀店」。店頭にはフグの巨大模型があり、観光で足を運んだ訪日客がスマートフォンで撮影する姿が絶えない。大阪の17年末のホテル稼働率は94%と高く、周辺は訪日客増加を見込んだ不動産取引が盛んだ。

資産運用会社の野村不動産投資顧問は17年春、づぼらやの向かいの商業ビル「中座くいだおれビル」を116億円で取得した。同社は「インバウンド増加の勢いは強く、テナント需要が見込める」と説明する。大阪は住宅地の上昇率は鈍いが、訪日客増加による商業地の回復が目立っている。

■リニアも押し上げ要因に

名古屋の地価は好調な業績を維持する企業が支える。名古屋市の商業地は6.2%上昇。愛知県を中心に業績が好調な製造業が多いほか、27年のリニア中央新幹線の開業予定が地価を押し上げた。トヨタ自動車などに製品やサービスを売り込もうとする企業を狙い、不動産業者による貸しオフィスの開設も増えた。

名古屋駅西口の商業ビルが並ぶエリアは25.1%上がり、上昇率は全国5番目だった。周辺では17年10月に複合高層ビル「グローバルゲート」も全面開業している。駅前の大規模な再開発をテコに人の流れが変わった。

工業地に関しても、東京圏はプラス2.3%と上昇率が拡大した。大阪圏と名古屋圏も右肩上がりに伸びている。インターネット通販が急伸し、物流業者が高速道路に近い利便性の高いところに新しい倉庫を新設する動きが活発なためだ。首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の沿道地域にある茨城県五霞町の上昇率は11%に上った。

東急不動産ホールディングスの大隈郁仁社長は「今後も不動産市場は堅調な状態が続く」と話す。政府は全国の地価を押しあげる原動力になった訪日客数について、20年の東京五輪には4千万人に引き上げる目標を掲げている。全国各地で集客増に向けたインフラ整備が進むため、不動産業界では少なくとも五輪までは緩やかな地価上昇が続くとの見方が多い。

もちろん現状での過熱感や東京五輪後の息切れを懸念する声はある。ただ日本経済研究センターがまとめるエコノミスト40人超の経済予測では、日銀の金融政策は19年末まで現行の枠組みが変わらない見通しだ。実需と緩和マネーは当面、地価を支える役目を果たしそうだ。

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