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勝利のメンタリティー(山本昌邦)

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Jリーグで若手躍動 東京五輪へ世代交代の予感

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2018/3/30 6:30
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2018年の明治安田生命J1リーグが始まって4節がたった。ナショナルチームの活動期間に入り、一時中断しているシーズン序盤を私なりに概観すると、いくつかの新しい傾向が見られる。それが20歳前後の選手の積極的な活用という顕著な動きであることを、とてもうれしく思っている。

風間監督の英断、CBに17歳

明らかに若い息吹の台頭を感じる。例えば、J1に1年で返り咲いた名古屋は開幕から17歳の菅原由勢をCBで使い続けている。CBといえば、最終ラインの要のポジションである。そこに名古屋のアカデミー(育成組織)出身とはいえ、ルーキーを抜てきするなんてことはなかなかできないことだ。風間八宏監督の英断に心からの拍手を送りたい。

風間監督の抜てきに応え、名古屋の菅原は見事にCBの仕事を果たしている=共同

風間監督の抜てきに応え、名古屋の菅原は見事にCBの仕事を果たしている=共同

普通というか、常識にとらわれていてはできないことを実行できるのは監督が自分の目を信じているからこそだろう。名古屋のアカデミーの指導者たちにも大いなる励みになることは間違いない。

菅原自身は、昨年出場したU-17(17歳以下)ワールドカップ(W杯)インド大会で、イングランドなどとしのぎを削ってつかんだ自信と悔しさが大きな糧になっているのだろう。

菅原だけではない。同じU-17W杯インド大会組ではG大阪の中村敬斗、FC東京の久保建英もJリーグで出場機会をつかんだ。久保と中村はカップ戦のルヴァン杯でゴールも決めた。実に頼もしい世代である。

ただし、世界の同世代に目を転じると手放しで喜んでばかりもいられない。そのインド大会で優勝したイングランド代表は決勝トーナメント1回戦で日本にPK戦で競り勝ち、最終的に栄冠を手にしたが、大会最優秀選手のフィル・フォーデン(マンチェスター・シティー)は既に欧州チャンピオンズリーグにデビューした。名将グアルディオラ監督の覚えもめでたいらしい。

同じくイングランド代表のジェドイン・サンチョも移籍先のドルトムントでブンデスリーガにデビュー済み。ドイツ代表で5得点を挙げ、ベスト8入りに貢献したヤンフィーテ・アルプ(ハンブルガーSV)も今季のブンデスリーガでゴールを決めた。世界もまたこの世代の強化に力を注いでいるわけである。

熱帯びる東京五輪代表争い

20年東京五輪で主力となる世代の進境も著しい。U-17インド組よりカテゴリーとしては1つ、2つ上になるグループで、一生に一度の機会であろう「東京五輪の日本代表」を目標に据えて、がぜんやる気を出しているように見える。W杯ロシア大会を目指すフル代表候補の選手たちよりも「熱」を感じるくらいだ。

例えば、十代では鳥栖のFW田川亨介(19)や鹿島のドリブラー、安部裕葵(19)、J2岡山のCB阿部海大(18)らがいる。阿部は正月まで東福岡で高校選手権に出場していたとは思えない堂々たるプレーをJリーグでも披露している。フローニンゲンの堂安律(19)やシント・トロイデンの冨安健洋(19)は一足先に海外へ雄飛した。

オーバーエージ(OA)を除いて23歳以下の選手で戦う五輪で、2年後にその年齢にぴたりとはまる年代の動きも活発だ。柏のCB中山雄太(21)はコンスタントに試合に出ているし、昨季J1優勝を果たした川崎から出場機会を求めて移籍した同じく21歳の三好康児(札幌)や板倉滉(仙台)も新天地で戦力になっている。柏のユース時代に対戦相手だったハンブルガーSVに潜在能力を見込まれてスカウトされた伊藤達哉(20)のようなユニークなFWもいる。

プロスポーツの世界では、与えられた環境で淡々とこなすだけ、チャンスを待つだけではあっという間に周回遅れにされる。出番を求めた先で成功する保証はないけれど、それでも自分の中でのぎりぎりの葛藤の中から生まれた答えを優先し、移籍を「吉」に変えるたくましい選手たちがいる。1週間もあれば世界は変えられるという、この世界の生きた見本だろう。

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