2018年12月16日(日)

公示地価上昇、全国に波及 地方圏26年ぶりプラス

2018/3/27 16:50
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地価上昇の波が全国に広がってきた。国土交通省が27日発表した2018年1月1日時点の公示地価は、商業・工業・住宅の全用途(全国)で0.7%のプラスと3年連続で上昇した。地方圏も26年ぶりに上昇に転じ、0.041%のプラスだった。緩和マネーが下支えし、訪日客増加を受けて地方でもホテルや店舗の需要が増している。都市部の再開発も活発で、資産デフレの解消が進んでいる。

バブル崩壊以降、土地や雇用の調整に時間を要したが、3年連続の地価上昇は1992年以降で初めてだ。内閣府の国民経済計算によると、地価総額を示す「土地資産額」は16年で1182兆円。バブル期の6割の水準だが、3年連続で上向いており、足元の景気と地価の着実な回復を映す。

再開発や訪日客増加が都市・地方の地価を押し上げた(中央区銀座4丁目周辺)

再開発や訪日客増加が都市・地方の地価を押し上げた(中央区銀座4丁目周辺)

日本の株式資産額はバブル崩壊後の90年代後半に300兆円台まで落ち込んだが、16年には700兆円超まで増えた。株式やマンション、土地を持っていても価格が下がる資産デフレは日本経済の回復の足かせとなってきたが、負の局面を脱したことで、利便性の高い場所に前向きな投資が生まれる。消費の底上げにもつながる。

18年の公示地価で住宅地は全国で0.3%と2年連続、商業地は1.9%と3年連続で上がり、上昇率は17年より拡大した。直近ピークにあたる08年のリーマン・ショック前の伸び率には及ばないが、国交省は「バブル期とは違い、実需に裏付けられた緩やかな上昇が続いている」とみる。

年2割のペースで伸びる訪日客数の増加が地価上昇を後押しした。17年の訪日客数は2869万人と過去最高を更新した。住宅地上昇率上位3位を独占したのは北海道倶知安町。スノーリゾートが集積するニセコアンヌプリの山麓だけなく、地価上昇はJR倶知安駅周辺の市街地にも波及する。リゾート従業員向けの住宅需要も増えた。

地方でもホテルや店舗の需要が増している(福岡市のJR博多駅前)

地方でもホテルや店舗の需要が増している(福岡市のJR博多駅前)

都道府県別にみると、住宅地がプラスになったのは北海道などが加わって16(前年11)に増え、商業地のプラスは長崎県や熊本県など21(前年18)に広がった。札幌、仙台、広島、福岡の中核4市は、全用途の上昇地点数の割合が87%に上り、東京などの三大都市圏を上回った。

日銀の低金利政策に伴う緩和マネーも支え役となり、オフィスの再開発需要と利便性が高い主要都市の中心地で、回復基調がみられる。三井住友トラスト基礎研究所の北村邦夫氏は「都心部では億ションの成約率が最も高く、株価上昇による資産効果も後押ししている」と語る。株高を背景に同研究所の調べでは、東京23区の分譲マンションの初月成約率は1億円から1億5千万円の価格帯が86%と突出する。

一方、全国の商業地で下落率が最も高かったのはマイナス10.9%の鳥取県米子市の中心市街地で百貨店撤退などが響いた。資産デフレ解消の流れを確実なものにするには、緩和マネーに頼るだけでなく、人口減少や空き家など日本の構造問題と向き合う必要がある。地価上昇の持続力が引き続き試される。

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