2018年11月19日(月)

縮むウーバー、東南ア撤退 新CEO 大人への脱皮急ぐ

2018/3/26 23:00
保存
共有
印刷
その他

米ライドシェア最大手のウーバーテクノロジーズは25日、東南アジア最大手のグラブに同地域の事業を売却すると発表した。中国、ロシアに続き、苦戦を強いられてきた新興国市場から撤退する。勢いのままに拡大した戦線を縮小し、規模よりも効率を重視した姿勢を強める。創業時からのやんちゃなイメージを払拭し「大人の会社」に脱皮できるのか。

「今回の売却で成長戦略を加速していける」。25日、ウーバーのダラ・コスロシャヒ最高経営責任者(CEO)は、成長性の高い分野に経営資源を集中投入していく方針を改めて示した。

戦線縮小は2016年の中国、17年のロシアに次ぐ。いずれも一致するのはサービスの単価が安く、現地企業とのシェア争いが激しかった点だ。結局、中国では現地最大手の滴滴出行に事業を売却。ロシアでも現地大手と合弁を設立し事実上撤退した。今回もグラブとの激しいシェア争いに結果的に敗れた形になる。

ウーバーはグラブの27.5%の株式を取得し、今後も市場拡大に合わせた投資利益を得る。グラブへの事業売却は投資家からの圧力もあり、かねて検討されていた。18年1月にソフトバンクグループが共通の大株主になり、交渉が本格化した経緯もある。

自家用車で客を運ぶライドシェアの草分けとして、新たな市場を切り開いてきたウーバー。しかし、昨年以降、セクハラや差別の放置、データ流出の隠蔽、知的財産の不正取得の疑いといった不祥事が頻発し、6月には創業者のトラビス・カラニック前CEOが辞任した。その後、しばらくCEO不在の状態が続き、コスロシャヒ氏が後任に就いた。

コスロシャヒ氏が訴えるのは「収益の尺度だけでなく、人々の気持ちに寄り添った経営」だ。主戦場の米国でも「悪い会社」のイメージが広がり、競合のリフトの猛追を許している。リフトは月額固定料金の導入も検討中で、加入客の囲い込みを急ぐ。リフトとの消耗戦を切り抜けるためにも、収益化の見通しが立たない東南アジアなどを維持する余裕はない。実際、コスロシャヒ氏になって初の決算となった17年10~12月期の最終損益は11億ドル(約1200億円)の赤字だった。

今のウーバーが重視しているのは、新興国と比べて単価の高い欧米で食事の宅配仲介、公共交通の受託運営といった成長余地の大きい派生サービスを深掘りする戦略。ジェイソン・ドローギー副社長は「食事を30分以内に届ける市場に力を入れる。宅配専用店の開発など新市場を開拓したい」と話す。成長余地という点では市場が未整備の日本も「極めて重要な市場」(コスロシャヒ氏)の位置づけだ。

イメージが悪化し、かつての勢いもなくなったとはいえ、世界に広げたネットワークと知名度は今も抜きん出ている。19年にも予定する株式上場に向け、これをどう収益に結びつけていくか。その改革の行く末は、世界の他のユニコーンの評価にも影響する。

(シリコンバレー=兼松雄一郎)

今なら有料会員限定記事もすべて無料で読み放題

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報