中国人民銀、党委書記に郭氏 易氏と役割分担か
将来の「大人民銀」に布石

2018/3/26 19:16 (2018/3/27 0:19更新)
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【北京=原田逸策】中国共産党は26日、中国人民銀行(中央銀行)党委員会書記に銀行保険監督管理委員会の郭樹清主席が就く人事を決めた。郭氏は人民銀副総裁を兼ねる。人民銀の易綱総裁は党委副書記に就いた。人民銀行本体と党委でトップを分離する異例の人事となる。機構改革で人民銀の権限が拡大するため、易氏と郭氏で役割を分担する可能性がある。銀行、保険の監督当局と人民銀の将来の再統合への布石ともいえそうだ。

中国人民銀行副総裁兼党委員会書記に就いた郭樹清氏

人民銀が26日開いた幹部会議で報告された。会議で郭氏は「易氏が総裁に就くのに完全に賛成。新体制は党中央の金融への高度な重視の表れ。易氏が総裁の職責を履行するのを全力で支持する」と語った。易氏は「党中央の決定を断固守る。総裁の職責を全面的に負って履行する」と話した。

郭氏は銀行と保険の監督部門統合で3月に発足した銀保監会の主席と党委書記も務める。周小川・人民銀前総裁は総裁と党委書記を兼務した。

異例の人事は易総裁の党内の序列の低さが1つの原因。2017年秋の党大会で上位200人の中央委員に選ばれなかった。主要官庁のトップは大半が中央委員。中央委員の郭氏を党委書記に就けて人民銀の重要性とバランスを取ったようだ。

中国の省は党委書記と省長は分離することが多く、書記は省長より権限が強い。人民銀も原則はそのはずだが、郭氏は副総裁に就いた。中国人民銀行法は総裁が業務を引っ張り、副総裁は総裁を補助すると定める。易氏と郭氏のどちらが責任者かはっきりしない。

浮上するのが両氏の役割分担。3月の全国人民代表大会(国会に相当)は国務院(政府)の機構改革を決めた。銀保監会発足のほか銀行と保険の監督当局が持つ法案や規制の策定権を人民銀に移したことが見逃せない。

人民銀は金融政策と金融機関の監督(信用秩序維持)という2つの仕事があるが、習近平(シー・ジンピン)指導部は「金融リスク抑制」の旗を振り、当面は金融監督の仕事が増えるのが確実。金融政策や対外発信は人民銀での経験が豊富で英語も流ちょうな易氏が担い、不良債権処理や違法金融の摘発など金融監督は銀保監会トップを兼ねる郭氏が主導する――こんな分担がありうる。

郭氏が銀保監会と人民銀の党委書記を兼ねたことは、将来の両組織の統合の布石とも取れる。銀行と保険の監督当局は以前は人民銀内部の組織。中国は銀行、保険、証券と業態ごとに監督当局が縦割りで金融商品の複雑化に行政が対応しきれていない。再統合による「大・人民銀行」で規制の抜け穴を防ぐ構想が浮かんでは消えている。

郭氏は証券監督管理委員会の主席として手掛けた改革で海外でも名が通る。易氏は若くして米国に留学し米大学で終身教職の地位も得た。ともに市場志向の改革派官僚とされ、両氏の起用は特に海外向けに「改革を続ける」とのメッセージを発する狙いがありそう。

本当に市場志向の改革が進むかどうかは微妙。習氏は「すべてを党が指導する」と繰り返し、市場の役割を重視した経済政策とはどこかでぶつかる。株式発行自由化など市場の役割を高める重要な改革は先送りされた。

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