韓国、米向け鉄鋼輸出抑制で合意 FTA見直しも
【ワシントン=鳳山太成】ムニューシン米財務長官は25日、韓国が鉄鋼の米国向け輸出に数量枠を設ける形で事実上制限することになったと明らかにした。米韓は自由貿易協定(FTA)の見直しでも合意した。トランプ政権は関税発動をちらつかせながら通商交渉で譲歩を迫る戦略を取っており、その最初の事例となる。中国や日本にも同様の圧力を強めそうだ。
韓国政府によると米国が韓国を鉄鋼輸入制限の適用から除外する代わりに、韓国は輸出数量を制限するクオータ制を導入する。2015~17年の平均輸出量(383万トン)の70%を上限とする。
1月に開始した米韓自由貿易協定(FTA)の再交渉でも原則合意した。米国の安全基準に基づいて製造した自動車をそのまま韓国で販売できる台数をメーカーあたり現行の2万5000台から5万台に引き上げる。米国のピックアップトラックの関税撤廃期間を現行の21年から41年に延長する。
米政権が23日に発動した鉄鋼輸入制限では、韓国を含む7カ国・地域を当面猶予した。5月1日までに個別交渉を進め、合意に達した国を適用から外す方針を示した。
ムニューシン氏は中国の知的財産侵害への制裁措置を巡っても、同じ姿勢で臨むと強調。「関税や投資制限の発動に向けて取り組むと同時に、中国と交渉も進めている」と指摘した。今後1年間で1000億ドルの対中貿易赤字の削減を要求していることに触れ「許容できる合意に達しない限り、関税発動を保留することはない」と述べた。
トランプ政権は22日、最大600億ドル相当の中国からの輸入品に25%の制裁関税を課すと表明した。3月中にも対象品目を公表する。実際の発動まで約2カ月かかるとの見方もある。発動までの通商交渉で中国から譲歩を引き出す狙いがある。
一方、ムニューシン氏は中国に最終的に関税を発動しても「米経済に大きな影響を与えるとはみていない。自由で公正な貿易を求めることは長期的には米経済にとってよいことだ」と主張した。
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