2019年5月22日(水)

学校トラブル、弁護士が助言 東京・港区教委などが導入

2018/3/24 12:00
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いじめや子供同士のトラブルで保護者から相談を受けた際、学校が対応を誤らないように弁護士と連携する教育委員会が増えてきた。学校側に不備があると、保護者らが不信感を持ち、訴訟に至る可能性もある。専門家は「学校側に中立性があると思ってもらえることが大切。紛争解決のプロの弁護士の支援は効果がある」と指摘する。

「対応が不誠実だ。きちんとした説明をお願いしたい」。東京都港区のある小学校で、子供同士のけんかの対応に不満を抱いた保護者が、詳細な説明を学校側に強く求めた。訴訟の可能性にも言及したため、小学校は担当の弁護士「スクールロイヤー」に相談。「臆測だけで話さない」「教員個別ではなく学校全体で対応する」といったアドバイスを受け、事態は収拾できたという。

港区教委は教員の負担軽減のため、2007年度にスクールロイヤー制度を導入した。現在、21人の弁護士が計40校ある公立幼稚園・小中学校ごとに登録されている。校長や教員は直接、電話で弁護士に相談でき、司法の観点を踏まえて助言を受ける。当事者同士の話し合いに同席を求めることもできる。

学校から弁護士に寄せられる相談は年40件弱。内容はいじめ問題や近隣家庭からの苦情、保護者の理不尽な要求などだ。「教育分野以外の話だと訴訟リスクもあり、学校が判断に迷うこともある。困ったら駆け込めるので教員の心理的負担の軽減にもつながる」(区教委)という。

13年度に同様の制度を導入した大阪府でも、年100件程度の相談がある。学校側からは「法律家の助言を踏まえ、自信を持って対応できた」との声が上がる。スクールロイヤーの一人、峯本耕治弁護士は「特にいじめは加害者と被害者の立場が入れ替わるなど複雑なことも多い。幅広い生徒・児童から事実関係を聞き取ることが欠かせない」と助言する。

港区や大阪府の制度は自治体独自の取り組み。文部科学省はさらに広げようと17年度、弁護士への委託費用を助成する事業を始め、大阪府箕面市と三重県を対象にした。18年度予算案でも3自治体分の1千万円を計上し、学校側にどんな効果があるかを検証する。

大津市は16年1月、弁護士を含めた専門チームを発足させた。11年に中学2年の男子生徒がいじめを苦に自殺し、遺族が損害賠償を求めた訴訟で市側が学校と教委の対応に問題があったことを認めて和解した。「調査が長期化すると、子供の心に悪影響が出る恐れがある。専門家が関わり、早い解決をめざす」と市の担当者。

筑波大の江口勇治教授(教育学)は「学校側が客観性や中立性を確保しながら対応にあたるためにも、弁護士の支援は効果的だ」と指摘。そのうえで「弁護士側も教育現場の実情に詳しい人はまだ少ない。研修などを通じて理解を深めることも必要だ」と話している。

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