2019年5月23日(木)

リクルート「無償の愛」は卒業 渋谷の交流拠点閉鎖

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2018/3/27 6:30
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リクルートホールディングス(HD)が東京・渋谷のスタートアップ企業向け施設「TECH LAB PAAK(テック・ラボ・パーク)」を閉鎖する。大企業のインキュベーション施設の先陣として、3年間で1000人以上の起業家らが巣立った。同種の施設が渋谷に増える中、交流だけでイノベーションが生み出せるのか。リクルートの拠点閉鎖は一つの問いかけだ。

■6カ月無料、米西海岸ツアーも

「皆さんが進化するのに自分たちがこのままでいいのかなと思っていました。場所にとらわれない活動を続けます」

3月9日夕に開かれたテック・ラボ・パーク3周年記念イベント。岩本亜弓所長(32)が6月の閉鎖を発表すると、卒業生から「さみしいー」の声が一斉に上がった。

2015年の開設から常時約50のチーム、120人前後が出入りしてきたパーク。イベントにも多くの出身者が集った。高校生らでロボットを開発するYoki(東京都日野市)の三渕優太副社長(16)は「毎週大人の起業家の声を聞けて、とてもフレンドリーな空間だった」と振り返る。

パークは毎週金曜夜に交流パーティーがあり、同期や先輩後輩の付き合いも濃い。女性向けの防災備蓄用下着を開発するファンクション(東京・港)の本間麻衣社長(40)は「前向きな人が多く、モチベーションアップにつながった。下着のデザインは同じ9期生に依頼した」という。

起業の街・渋谷でパーク構想が動き出したのは14年。初代所長の麻生要一氏(34)は「当時は大企業が開く交流拠点はほとんどなかった。イノベーションが生まれ続ける土壌をつくりたかった」と明かす。

場所は1階にアップルの直営店がある好立地のビルの6、7階。審査を通ったチームは6カ月間無料で使える。飲料水やスナック菓子も無料。30歳以下の選抜メンバー向けに春と夏には無料のシリコンバレー1週間体験ツアーもあった。

リクルートはパークに集うスタートアップに出資せず、事業連携も進めない。短期的な見返りを求めず、「無償の愛」(岩本所長)を与え続けた。起業家たちとの交流の輪の中にいることで、最新の技術トレンドに触れることが狙いだった。

そのため各期の募集時にロボットや人工知能(AI)などのテーマを設定し、技術系起業家が集まりやすくした。メンター(相談相手)は日本マイクロソフトなど大手企業から招いた。

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