2018年4月27日(金)

元名大生、二審も無期懲役 名古屋高裁が弁護側控訴棄却

中部
2018/3/23 10:10 (2018/3/23 13:31更新)
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 知人女性殺害や同級生への劇物投与事件で殺人や殺人未遂の罪に問われ、一審・名古屋地裁判決で無期懲役を言い渡された名古屋大の元女子学生(22)の控訴審判決が23日、名古屋高裁であった。高橋徹裁判長は「精神障害の影響は一定程度あったが、その範囲と程度は限定的だった。刑事責任能力は認められる」と一審を支持し、弁護側の控訴を棄却した。

傍聴券を求めて並ぶ人たち(23日、名古屋市中区)

 一審と同様、発達障害や双極性障害(そううつ病)があったとされる事件当時の元女子学生の刑事責任能力の有無が最大の争点だった。

 判決理由で高橋裁判長は、女子学生は知人女性殺害事件で「事前に準備するなど計画的だった。状況の変化に冷静に対応しており、自分の意思に基づいていた」と判断。タリウム投与事件については「被害者が死亡する可能性を認識していた」と殺意を認め、「殺意はなかった」とする弁護側の主張を退けた。

 その上で完全刑事責任能力を認めた一審判決に「不合理な点はない」と述べ、責任能力があると結論付けた。

 弁護側は量刑不当を訴えていたが、「(一連の事件は)まれに見る重大かつ悪質な事案。事件当時に未成年であった点を考慮しても重過ぎて不当とはいえない」とした。

 2017年3月の一審判決は元女子学生が「高い知能や社交性で社会に適応できていた」とし、「障害が犯行に影響を及ぼした程度は限定的」と責任能力を認めた。

 控訴審で弁護側は「通常の社会生活を送っていたことは、障害の程度を判断する根拠にならない」とし、元女子学生には責任能力がなく無罪と主張。検察側は改めて「障害の影響は限定的で殺意があった」などとして控訴棄却を求めていた。

 判決によると、元女子学生は19歳だった名古屋大在学中の14年12月、名古屋市の自宅アパートで知人女性(当時77)の首を絞めるなどして殺害。高校在学当時の12年には、同級生ら2人に劇物の硫酸タリウムを飲ませて殺害しようとするなどした。

●本人は出廷せず

 23日午前10時に開廷した名古屋高裁での控訴審判決に、元女子学生(22)は出廷しなかった。

 これまで5回の公判には全て出廷。被告人質問では「人を殺したいと思うことが1日に5、6回、多いときは10回以上ある」と殺人への衝動を明らかにする一方、心理療法の本を読んでおり「人を殺さない自分になる方法を探したい」と話していた。

 控訴審判決の81枚の傍聴券を求め、名古屋高裁には朝から約250人が列を作った。

●実刑確定なら刑務所で治療
 実刑が確定すれば、元女子学生は刑務所に収容される。昨年3月の一審・名古屋地裁判決は処遇について「障害の状況に応じて適切な療育、治療を最大限講じてほしい」と言及、仮釈放の弾力的な運用による社会復帰を求めていた。
 名古屋矯正管区によると、受刑者に障害などがある場合、刑の確定から約2カ月内に面談や検査などで障害の程度を分類し、収容先を決める。
 身体・精神面の障害を抱えた受刑者を収容する医療刑務所は、全国に4カ所ある。このうち女性が対象なのは八王子(東京都八王子市)、大阪(堺市)、北九州(北九州市)の各医療刑務所だ。
 通常の刑務所では他の受刑者と同室で生活し、日中は工場などでの作業が課される。精神科などの専門医は原則常駐しておらず、治療は投薬が中心だ。医療刑務所には専門医が常駐する。軽作業を行う場合もあるが、治療・療養を重視する。
 発達障害などに詳しい児童精神科医の高岡健氏は「精神障害の療養には医師だけでなく専門のスタッフが必要。医療刑務所でも十分な環境とはいえず、治療は困難を伴う」と指摘。「症状が改善されないままでの社会復帰を防ぐためにも、精神障害を抱えた受刑者の処遇はより慎重に検討しなければならない」と話す。

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