他社参入 対抗値下げへ 両備、黒字バス路線巡り
公共交通のゆくえ
両備グループ(岡山市)が黒字バス路線への新規参入で赤字31路線を維持できなくなるとして廃止届を提出、取り下げた問題を巡り、傘下の両備ホールディングス(同)の原雅之専務は22日、競合他社の参入に対抗して運賃引き下げに踏み切る考えを示した。岡山県が同日開いた地域公共交通対策検討会の初会合で明らかにした。

同グループの岡山市中心部と市東部の西大寺地区を結ぶバス路線には、タクシー事業の八晃運輸(同)が低価格循環バス「めぐりん」の新路線として参入準備を進めている。原専務は「利用者のことを考えると運賃を同調せざるを得ない」と述べる一方、今回の参入は収益を互いに下げるような内容だと指摘した。
同じく傘下の岡山電気軌道(同)の礒野省吾専務は、地域公共交通活性化再生法に基づいて県が設ける法定協議会に関して「路線廃止だけでなく新規開設の場合も協議会にかけて、適正運賃など細かい点をきちんと議論すべきだ」と提案。中国運輸局の担当者は「直ちに回答するのは難しい」として持ち帰った。
検討会は、岡山市など廃止対象だった路線に関係する4市の要請で、県が地域公共交通のあり方を議論するために設置。今後も法定協議会に向けて、実務レベルで課題を整理していく。
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人口減が進む地域で公共交通機関のあり方が問われています。鉄道やバスなど交通網の維持に知恵を絞る官民の動きなどを「公共交通のゆくえ」で取り上げます。日経電子版でも関連ニュースをまとめて紹介します。