2019年1月23日(水)

ピーチ・バニラ統合、甘くないアジアLCCの強敵

2018/3/22 21:26
保存
共有
印刷
その他

格安航空会社(LCC)国内2位のピーチ・アビエーションと同3位のバニラ・エアは22日、2019年度末に統合すると正式発表した。ブランドをピーチに統合し、売上高はジェットスター・ジャパンを上回って首位に躍り出る。統合を機に海外展開を加速する方針だが、アジアには売上高で3~4倍の競合がひしめく。世界で存在感を高められるかは未知数だ。

統合を発表し握手する(左から)ピーチ・アビエーションの井上慎一CEO、ANAホールディングスの片野坂真哉社長、バニラ・エアの五島勝也社長(22日午後、東京都港区)

「海外のLCCなどとの激しい競争に生き残るための選択だ」。同日、都内で開いた記者会見でピーチの井上慎一最高経営責任者(CEO)はこう強調。成長市場のアジアで攻勢をかける意気込みを語った。

ピーチはANAホールディングス(HD)の連結子会社で、バニラは完全子会社。ANAHDが113億円を投じて4月にピーチへの出資比率を約10ポイント増の77.9%へ引き上げ、その後、バニラをピーチに事業譲渡する形を検討する。

売上高は単純合算で約760億円と日本のLCCで首位となる。さらに20年度には1500億円に引き上げる方針で、その中核となるのはアジアへの展開だ。

ANAHDはLCC事業で20年をめどに、片道7~9時間と今より長い中距離路線への参入を検討中だ。東南アジアの主要都市やインドも射程圏内に入る。

アジアの航空旅客輸送需要は今後20年、年5%超で増える見込み。需要を取り込むには「中距離LCCをスピード感を持って実現することが必要」(ANAHDの片野坂真哉社長)だ。

もっともアジアの競争環境は甘くない。日本でLCCのシェアは1割程度だが、東南アジアはすでに6割に達する。市場拡大に合わせてLCCのプレーヤーが成長。マレーシアのエアアジアや豪ジェットスターグループは円換算の売上高でピーチ・バニラの3~4倍だ。海外は韓国や台湾の路線が中心のピーチ・バニラが後から食い込んでいくのは簡単ではない。

他にもインドネシア・エアアジアXは5月に成田―ジャカルタ線を就航する見通し。LCCに加えてガルーダ・インドネシア航空などの大手も巻き込んで競争が激しくなるのは必至だ。

拡大するアジアに対して日本国内のLCC市場は伸び悩み、国内線のシェアは1割程度にとどまる。大都市圏の路線は大手が握り、LCCは地方空港同士を結ぶといった住み分けの構図になっているのが実情だからだ。

そんな国内を巡っても海外勢との競争が激しくなる。ピーチの井上CEOは22日の会見で、いま統合を決めた理由について「東京五輪を控えて競争環境が激化している。このタイミングで統合することがベストと考えた」と述べた。バニラの五島勝也社長は「訪日需要の急成長で海外LCCが日本市場に参入している」と危機感を示した。

「運航する機材を増やすなど規模がないと勝ち残れない」(航空会社首脳)のが航空業界だ。日本のLCC元年といわれた12年から6年が経過。価格のメリットが大きい新サービスとして認知度が高まってきたにもかかわらず、利用者が伸び悩む状況をどう打開するか。生き残りに向けた競争は第2ステージに入る。

日経電子版が2月末まで無料!いつでもキャンセルOK!
お申し込みは1/31まで

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報