光のゆらぎ、LEDで再現 心地よい照明で商品化
関西サイエンスマガジン

2018/3/27 6:00
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心地よい光のゆらぎが表情をやさしく包む――。大阪大学の神吉輝夫准教授らが開発した発光ダイオード(LED)の照明は、人間の心拍や小川のせせらぎなどのリズムである「f分の1ゆらぎ」を再現した。LED同士はお互いの存在を感じるように同期(シンクロ)しながら7色で点滅し、眺めていると快適な感覚を味わえる。心にやさしい照明として広がりそうだ。

ひし形の照明機器を近づけると、光が同期して同じ色が広がっていく(大阪市北区)

ひし形の照明機器を近づけると、光が同期して同じ色が広がっていく(大阪市北区)

照明は6センチ角のひし形。手に持って振ると点滅する色が変わり、近づけるとシンクロして同じ色が伝わっていく。照明の内部に受光センサーがあり、色を感知できる。複数のLEDを花びらのように円形に並べれば、くるくると回る光の輪ができる。

機器の蓋を開けるとLED照明、電池、受光器が並ぶ

機器の蓋を開けるとLED照明、電池、受光器が並ぶ

神吉准教授は「人間が心地よいと感じるゆらぎをエレクトロニクスに応用した」と説明する。「f分の1ゆらぎ」は人間の心拍や脳波、ろうそくの炎の揺れなど自然現象に多く存在し、一定のリズムからずれたゆらぎだ。このゆらぎを再現する独自の回路技術を開発。博報堂や兵庫県立大学、光や音の演出を手掛けるゼロバイゼロ(東京・大田)と協力して照明を試作した。来年にも新しい照明器具や子供が楽しめる知育玩具として商品化する計画だ。

また、神吉准教授は「海外では照明器具としてニーズが高い」と期待する。日本に加えて米国やイタリアで特許を取得。「心がやすらぐあかり」として、屋外やイベントに使う照明器具としても売り込む考えだ。

開発したゆらぎ回路は大きな可能性も秘めている。神吉准教授は「全く新しい原理で動く計算機や自律分散型ロボットなどにも応用できる」と話す。ゆらぎを信号として取り出せれば、現在の計算機と全く異なる原理で動く回路になり、エネルギーの消費量が極めて少なく小型の計算機ができる可能性があるからだ。人に優しい照明が情報技術に革新をもたらすかもしれない。

(文・竹下敦宣、写真・山本博文)

=おわり

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