先行きのインフレ「警戒」 パウエルFRB議長初会見
【ニューヨーク=大塚節雄】米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が21日、就任後初めての記者会見に臨んだ。今後の利上げは「中くらい」のペースにこだわると述べ、景気の過熱と腰折れのどちらも避けるよう柔軟に対応する考えを強調した。焦点の物価動向には「インフレ加速の先端にいるというデータはない」としながらも「非常に警戒している」と語り、先行きを注視する考えを示した。
21日に終えた米連邦公開市場委員会(FOMC)では3カ月ぶりの利上げを決めた半面、メンバー予想の中心値で示す2018年の利上げ回数は3回を維持した。ただし、3回予想と4回予想が拮抗したほか、19年以降の2年間の利上げ回数は計4回弱から5回に増え、経済見通しの上方修正に合わせ、利上げペースが加速するシナリオを示した。
パウエル氏は会見で、賃金や物価について「緩やかな上昇をみてきた」と指摘し、この先は労働市場が一段と引き締まるにつれ、上昇が「さらに上昇するだろう」との見解を示し、利上げ継続の必要性を強調した。
現在3カ月に1回に開くFOMC後の記者会見をもっと頻繁に開く考えはあるのかという問いには「決めてはいない」としつつも、「慎重に検討している」と話し、会見を増やすことに含みを持たせた。
トランプ政権が保護主義の傾向を強めていることには、経済界などで「通商政策が先行きの懸念材料になっている」と言及。ただし、「通商政策の変化が現行の経済見通しに何らかの変化をもたらすという考えはない」と語り、現時点で影響を織り込む必要はないという考えを示した。
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