LINEデータのお引っ越し スマホ交換で失敗しない
スマホを替える前に知っておきたいLINE移行術(上)

年度末のタイミングでスマートフォン(スマホ)を新しくしたという人も多いだろう。スマホを替えたときに注意したいのはデータの移行。古いスマホにあったものが新しいスマホでは見られなくなったという事態は避けたい。ここで意外に見落としがちなのがコミュニケーションツール「LINE」のデータ。親しい人と交わした会話を失わないようにするために知っておくべき注意点をLINE Customer Careチームの小俣輝久さんとセキュリティ室マネージャーの市原尚久さんに聞いた。
1 OSが違うと会話は復元できない
2 電話番号が変わる場合は要注意
3 メールアドレスは必ず登録する
4 パスワード再設定メールが届かない場合は?
5 SMS(ショートメッセージサービス)が届かないSIMに替えた場合の注意点
6 トーク履歴を復元しても写真や動画は戻らない
7 LINEスタンプが引き継がれていないときは?
8 LINEコイン残高がゼロになるケース
OSが違うと会話は復元できない
新しいスマホに替えた場合、アカウントの引き継ぎを行えば、前のスマホで使っていた友達のリスト、LINE内で購入したスタンプや着せ替えなどを新しいスマホでも使うことができる。
しかし、注意してほしいのは、友達との会話(トーク履歴)を復元できるのはOSが同じ場合に限られるという点だ。iPhoneからAndroid、AndroidからiPhoneというように、機種変更によってOSが変わった場合は、以前の会話を復活させることはできない。
電話番号が変わる場合は要注意
スマホの機種変更をする際、電話番号に変更がなければ比較的簡単に変更できる。しかし、LINEに登録している電話番号が変わる場合、前のスマホで「アカウント引き継ぎ設定」をオンにする必要がある。オンにしていないと以前のデータは引き継げない。


「アカウント引き継ぎ設定は、アカウント乗っ取り防止のために作られた機能です。たとえ他者に暗証番号を教えてしまっても、これがオフになっていれば、アカウントを移行することができないようになっています。移行前は、これをオンにしておいてください」(市原さん)
「アカウント引き継ぎ設定」をしないまま機種変更してしまった場合はどうすればいいのか。
以前のスマホがまだ使えるなら、Wi-Fi環境下で「アカウント引き継ぎ設定」をオンにすればいい。
機種変更のときに下取りに出したなど、以前のスマホが使えないときは、「引き継ぎ認証画面」で「引き継ぎ認証番号を受け取る」をタップ。すると、LINEに登録している引き継ぎ認証番号が変更前の電話番号あてにSMSで送られる。
とはいえ、当然のことながら、変更前の番号を解約している場合SMSは届かない。この場合、パソコン用のLINEを使っていれば、パソコン用LINEに引き継ぎ認証番号が届く。
パソコン用のLINEも使っていない場合は、問い合わせフォーム(https://lin.ee/90DO7Ev/btdv)を利用し、LINEに連絡する。
メールアドレスは必ず登録する
LINEのアカウントを新規作成するときに必要なのは電話番号で、メールアドレスの入力はスキップできる。しかし、新しいスマホで以前のLINEアカウントを引き継ぐ場合、メールアドレスとパスワードが求められる。

「LINEのアカウントを新規作成する際に必ず必要なのは電話番号で、メールアドレスの入力はスキップすることも可能です。その後も、メールアドレスを登録しなくてもLINEを使い続けることができます。しかし、その状態のままで機種変更すると、同じアカウントが引き継げなくなります。もし今使っているLINEアカウントを新機種でも使いたいのであれば、機種変更前に必ずメールアドレスとパスワードを登録しておきましょう」(小俣さん)
機種変更前にメールアドレスを登録していなかった場合、アカウントの引き継ぎはできない。それまでの友達との会話や写真が見られなくなるだけでなく、登録されていた友達のリストも全てなくなってしまう。
パスワード再設定メールが届かない場合は?
パスワードを忘れてログインできなくなった場合、「パスワードを忘れた場合」から変更案内メールをリクエストし、そのメールに書かれた手順で操作すればパスワードが再設定される。
ただし、メールアドレスが間違っていたり、キャリアメールの受信設定で「@line.me」というアドレスがフィルタリングされていたりすると、メールが届かない。再設定メールが届かない場合は、メールアドレスに間違いがないかどうか、キャリアメールの受信設定に問題はないかを確認しよう。
SMSが届かないSIMに変えてしまった
LINEを使うスマホのSIMを、データ通信用SIMに変更した場合、そのSIMがSMSに対応しているかどうかを確認しておこう。もし対応していない場合、アカウント引き継ぎ画面で必要になる「番号認証」ができなくなるからだ。
新しいスマホでLINEのアカウントを引き継ぐ場合、SMSが使える電話番号を入力し、その番号にSMSで届いた4桁の認証番号を入力しなくてはいけない。SMSが使えないデータ通信用SIMだと認証番号が受け取れなくなる。
「スマホを機種変更する際にデータ専用SIMを選ぶケースがありますが、なかにはSMSが受け取れないデータ専用SIMもあります。その場合、ほかにSMSを受信できるスマホや携帯電話があれば、その電話番号を登録し、SMSが届くようにしておいてください。それがLINEを使うスマホとは別の端末でも問題ありません」(小俣さん)
ただし、その電話番号がすでに別のLINEに登録されている場合、この操作を行うと、そのLINEアカウントは使えなくなる。
手元にSMSが届く電話を持っていない場合はFacebookアカウントを使えば本人確認を行うことができる。SMSが届く電話がなくFacebookアカウントもない場合は、アカウントの引き継ぎはできない。
トーク履歴を復元しても写真や動画は戻らない
動画や写真は、一定期間が過ぎるとトーク履歴から削除されてしまう。トーク画面にサムネイル画像が表示されているからといって、元画像が残っているわけではないのだ。そのため、スマホを替えてトーク履歴を復元しても写真や動画は戻らない。

大事な写真は、その都度「アルバム」に、動画は「Keep」に保存しておく。そうすれば、新しいスマホで以前のアカウントを引き継いだ後、「アルバム」や「Keep」を開けば、保存していた写真や動画が表示される。
LINEスタンプが引き継がれていないときは?
引き継ぎのあと、LINEのトーク画面を開いても、購入したスタンプは表示されない。ダウンロードしたスタンプを使うには、改めてダウンロードし直す必要がある。持っているスタンプをすべてダウンロードするには、LINE画面左下の「友だち」から「歯車」アイコンをタップし、「スタンプ」をタップ。「マイスタンプ」を開き、「すべてダウンロード」をタップすればいい。

LINEコイン残高がゼロになるケース
LINEで使用できるポイントや電子マネーには「LINEポイント」「LINEコイン」「LINE Pay」がある。
「LINEポイント」とは、ショップや量販店で発行される「ポイント」のようなもので、LINEアプリ内のキャンペーンでもらったり、LINE Payカードで買い物をしたときについてきたりする。ポイントがたまると、商品に交換したり、公式オンラインショップで「LINEスタンプ」や「LINE着せ替え」を購入したりすることができる。
「LINEコイン」とは、LINEで使えるお金のこと。iTunesやGoogle Playを使ってチャージする。「LINEスタンプ」や「LINE着せ替え」などのLINE内有料コンテンツを購入するときに必要になる。
「LINE Pay」とは、LINE友達に送金したり、オンラインショップや実店舗での支払いに使う電子マネーだ。
「LINEポイント」と「LINE Pay」はアカウントを引き継げば、新しいスマホに移行できる。問題はLINEコイン。LINEコインは、OSごとに独立して保存されている。そのためiPhoneからAndroid、AndroidからiPhoneというように、機種変更によってOSが変わると、以前の残高は引き継がれないのだ(ただし再び元のOSに戻るとLINEコインの残高も復活する)。LINEポイントとLINE PayはOSが変わっても引き継がれる。
次回はiOSとAndroid、それぞれの引き継ぎの仕方を流れに沿って説明する。

(文 井上真花=マイカ、写真 渡辺慎一郎=スタジオ・キャスパー)
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