2018年9月19日(水)

データ独占に募る不信 フェイスブック、米で規制強化論

2018/3/21 2:01
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 【ラスベガス=中西豊紀】米フェイスブックが保有する5千万人超のユーザー情報が不正に外部に流出した。自社の管理が及ばない第三者の規約違反だとしてフェイスブックは責任を否定するが、知らぬ間に個人情報が悪用されうるデータ管理のもろさを露呈した。大量のデータを駆使し存在感を増す「プラットフォーマー」に対する規制強化の動きが米国でも加速しそうだ。

フェイスブックへの規制論は加速しそうだ(米メンローパーク市内の本社)

フェイスブックへの規制論は加速しそうだ(米メンローパーク市内の本社)

 問題は米紙ニューヨーク・タイムズと英紙ガーディアンの17日付の報道で発覚した。英データ分析会社ケンブリッジ・アナリティカがフェイスブックのユーザーデータ5千万人分を不正に取得したというもので、このデータが2016年の大統領選でトランプ氏に有利に働くよう活用された可能性があるという。

 同社の設立にはトランプ氏の側近だった元首席戦略官スティーブ・バノン氏が関与していた。トランプ陣営は実際に同社を選挙時に雇っている。

 フェイスブックは今回の問題を、自社の不手際ではないと主張する。

 14年にケンブリッジ大学心理学教授のロシア系米国人アレクサンドル・コーガン氏が学術調査の目的で同社と正式に契約したうえで、ユーザーへのアンケートを通じて集めたものだ。同社は調査目的のデータアクセスを認めているほか、アカウント作成時にもユーザーにその事実を伝えている。

 だが、コーガン教授はデータを同社との契約に違反してケンブリッジ社に横流ししたとされる。フェイスブックは15年にこれに気付きデータの消去を求めたとしているが、ニューヨーク・タイムズは「データは最近まで存在し、実際に閲覧できた」としている。

 コーガン氏とケンブリッジ社の関係や、実際に大統領選でデータが使われたかなど詳細は明らかになっていない。ただ5千万人分という膨大なデータ量と、それが選挙介入に使われた可能性があるとの事実があいまって、米国内で巨大デジタル企業への規制論が再び高まっている。

 フェイスブックに過失はないのか。今回の問題点はまず、日本や欧州には個人情報保護に関する厳しいルールがあるが、米国には包括的な法律がないところだ。企業は個別の契約などで個人情報の扱いについてを定めることになっている。

 ただ調査目的でのデータ取得について契約した教授が、契約に違反して外部に流用した。東京大学の生貝直人客員准教授は「フェイスブック自身に悪意がなくても、悪意ある第三者が関わったときに何が起きるかを考える責任が同社にはある。無防備だったとの批判は強まる」とみる。

 データが大統領選で利用された可能性がある点も問題だ。本人も意識しないうちに特定候補への投票を誘導されるような情報操作を受けることについて、個人情報保護に詳しい板倉陽一郎弁護士は「米国では広い意味でのプライバシー侵害として社会問題化している」と指摘する。

 巨大なデジタル企業が膨大なデータを抱え、周辺企業がそれを利用する「データ経済圏」が増殖する。今回の問題はその世界で生き始めている企業や個人にとって大きな分水嶺となる。

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