2018年12月15日(土)

面白いスタジアムめざす サンフレッチェ広島 山本拓也社長(語る ひと・まち・産業)
サッカー観客動員 底上げ

コラム(地域)
2018/3/21 12:00
保存
共有
印刷
その他

■2017年シーズンにサッカーJ2降格危機を乗り切ったサンフレッチェ広島。1月に就任した山本拓也社長(47)は前職のナイキジャパンのマーケティング部門でサンフレッチェを担当した経験を糧に強豪復活へ挑む。

 やまもと・たくや 1970年生まれ。青山学院大経卒、93年アサヒビール入社。96年ナイキジャパンに転職、販売やスポーツマーケティング担当。J1鹿島、浦和、横浜に続き11年からサンフレッチェ広島とサプライヤー契約。18年1月から現職。川崎市出身。

やまもと・たくや 1970年生まれ。青山学院大経卒、93年アサヒビール入社。96年ナイキジャパンに転職、販売やスポーツマーケティング担当。J1鹿島、浦和、横浜に続き11年からサンフレッチェ広島とサプライヤー契約。18年1月から現職。川崎市出身。

「ナイキジャパンを退職した後もサッカーに携わりたいと思っていたところ、17年9月にサンフレッチェ社長候補として声をかけて頂いた。(チームとの付き合いは)11年にスポンサー契約を結ぶ書面を作るところから始まった。資金力の限られたチームながら、全寮制のユースを持って自前で育てる『育成の広島』が魅力に映った」

「広島県は埼玉県、静岡県とともにサッカー御三家と呼ばれる地域だ。前身の東洋工業時代を語る方も多く、サッカーが根づいている。プロスポーツを見る文化があるのは(事業者として)ありがたいことだ」

「スポーツは見ていて感動するし疲れも吹っ飛ぶ。17年にプロ野球の広島東洋カープがセ・リーグ連覇して沸き立ったように、街にも活気が生まれる。選手の活躍に憧れを抱いて将来、プロサッカー選手を目指そうという子供も出てくる。広島を平和と元気であふれる街にしたい」

■プロチームが多く生で観戦する機会に恵まれた「スポーツ王国」の広島。フロント改革を通じ、減少傾向にある観客動員数の底上げに力を注ぐ。

2015年のJ1リーグ戦優勝に喜ぶ山本社長(左、前職のナイキジャパン時代)

2015年のJ1リーグ戦優勝に喜ぶ山本社長(左、前職のナイキジャパン時代)

「前職の頃からフロントの社員一人ひとりに熱い思いがあるのに束になっていないと感じていた。(就任前の)17年12月から人事異動に着手し、50人弱いる社員の4割を動かした。17年はJ1残留チームで最下位。閉塞感も漂っており、開き直るしかないと思った」

「広島に住み始め、『エディオンスタジアム』(広島市)が遠くアクセスが悪いという市民の感覚に最初は戸惑った。首都圏なら観客は『カシマスタジアム』(茨城県鹿嶋市)まで東京駅からバスで2時間かけて通う。『埼玉スタジアム2002』(さいたま市)まで浦和美園駅から徒歩20分近くかけて歩くからだ」

「いかにエディオンスタジアムに観客を連れてくるか。勝敗や順位で増減するのとは別に、面白い、楽しいからスタジアムに来たいという観客を増やしたい」

■ファン拡大の目標と施策を決めるため、社長就任と同時に「顧客戦略部」を立ち上げた。

「顧客戦略部が責任を持ち、エディオンスタジアムで開く1試合ごとの観客数目標を立てた。18年シーズンはリーグ戦とカップ戦の合計20試合の年間観客数を30万人に掲げた。17年は21試合で26万7千人だった。スタッフの仕事は来場者が試合を楽しめているか、困り事はないかを観察する。選手のプレーをチェックするのは試合が終わってからでもいい」

「今シーズンからは記者席の一部を観客席として販売し、お弁当を広げて観戦できるようにした。スタジアム周辺の駐車場を事前予約制にし、安心して来場できる仕組みも整えた。(新スタジアムについては)可能ならシンポジウムを開き、サンフレッチェにふさわしい理想の姿を考えることができればと思う」

■生で観戦、楽しさ味わう

《一言メモ》広島東洋カープの37年ぶりリーグ連覇で沸き立つ広島。野球の陰に隠れがちだが、サッカーやバレーなど複数の人気チームがある。

カープは2017年レギュラーシーズンにマツダスタジアムで開かれた69試合で215万人の観客を動員した。バスケットボールB2リーグの「広島ドラゴンフライズ」は16―17年シーズンに県内を中心に30試合で約5万5800人を集め、バレーボール・プレミアリーグの「JTサンダーズ」は17-18年に開かれた広島県の5試合で1万6380人を集めた。

広島市ではトップスポーツチームの試合を年1日以上観戦する人の割合が11年に37%だったが、16年は43%に高まったという。市は20年までに50%以上とする計画だ。球場などに足を運び、生で観戦する楽しさを味わうファンが増えそうだ。

(広島支局 後藤健)

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報